表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/51

■08 キンマを求めるもの

 夕暮れになっても子供達は無邪気に遊んでいた。

 赤焼けに染まる地面に伸びる子供達の影は細長く、曲がり、くねり、


 時には馬のように――


 あるいはトカゲのように――


 イビツなものとなって踊っている。


「果ては異形の道か……」


 栗毛髪の女は窓の外から見える、奇形じみた影の風景をぼんやりと眺めていた。


「キーツ様。アッペテンが支援を打ち切るといってきました。……キーツ様?」


 物思いから戻る逡巡があってから栗毛髪の女――キーツは答えた。

 謎の輝く板により、世界最大の嵐が割れた現象。それを起こした栗毛髪の女、キーツである。


「捜査が及ぶのを恐れたな。三枚目はヤツが持っている。奪うしかない。人選は任せる」

「承知しました」

「して、ソティアーナの方はどうだ?」

「居場所は判明しました。しかし、その病室に誰も近づけないのです。何故か同じ場所に戻ってしまうと……」

「意味がわからん。燕も骨なしもか?」

「はい。あの砦は別の妖精領域であり、我らには犯せぬと」

「妖精! 連合に妖精がいるのか……まさか、そんな……! いや、そうなのか……」

「はい。壁画の警告にあったものの可能性が……!」

「ふむ。危険だな。計画を変更しよう。儀式は神殿しかできないと思っていた。だがキンマ盤で運べ、三つ揃えばいかなる場所でも再現可能だと判明した。子供達を連れ回すのは足がつく。『豆』だけでも、その力はみなが知っていよう。部下達の戦力を底上げするため、まずはキンマ三つを揃えることを優先する!」

「はい。部下に伝えます。では――」


 巨漢の男は立ち去ろうとしたとき、少年クートが部屋に飛び込んできた。


「ソティは! ソティを助けにいかないの!」

「クート!」


 巨漢の男が叱った。気迫に押されたクートだったが、強気に叫ぶ。


「父さんはまた家族をそうやって見捨てるんだ!」


 巨漢の男の顔が苦渋に歪み、キーツが口を挟む。


「クート。カラインはよくやってくれている。我が侭を言うな」

「……父さんは白騎士だ。あの鎧があるのに!」

「よいか。今、ソティアーナがいる場所は連合の支部だ。奪い返したとしても、連合が本腰を入れてくる可能性がある。大部隊が押し寄せては――」


 キーツは窓の外で遊んでいる子供達を煽ぎ見せる。あの子達が犠牲になるぞと言わんばかりに。


「みんなを守れる保証がない。ぎりぎりまで連合、帝国を本気にさせてはならないんだ。解るだろう? クート。君はかしこい子だ」

「だけど……」

「お前の気持ちは解っている。ソティアーナには別の方法で帰ってきてもらおう。事を荒立てずにな。少々、時間がかかるだけだ」

「戻ってくるの?」

「そうだ。同化現象も始まり――」


 キーツは窓の外に視線を促す。地べたに座って二人の少女が落書きをしていた。


「こちらから連絡はできるようになるだろう……安心しなさい」


 二人の少女が描く絵は左右対称。

 鏡を合わせたように少女二人は同じ動作で、同じ落書きを描いていた。


謎のメモ。

クート兄さん、妹のソティ心配。

同化現象がはじまる。

アルベルの巨乳化が気になるところですが、次回クドルル美術館で聞き取り→

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ