51/53
J プーロトンザミ性児幼
「被害女児を山に誘った?」
「……知らない」
何度か同じことを繰り返していた。利き腕が違うことを指摘されてから付いた頬杖の所為で背中が痛い。
「ビデオテープに撮った?」
「忘れた」
「切断して食べた、と調書にありますが間違いありませんか?」
「……」
さっきから何なんだろう。
覚えのないことを責められるのは慣れてるが、これまでにないくらい深刻な状況であるのはなんとなく分かった。
「生で食べたんですか?」
「……知らない、本当に」
「調味料使わなかった?」
「覚えてない」
堂々巡りに嫌気が差す。口が達者なのが取り柄だと思っていたが、その自信は既に消え去っていた。視線を下にやり、できるだけ現実を直視しないようにする。
「調書には、醤油を使ったって」
「……醤油味は、嫌い。俺はケチャップのほうが好き。チャーハンとオムライスならオムライスのほうが美味しいです」
自分が何を言っているのは分からないくらい混乱していた。




