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神さまに逆らうな!  作者: つなかん
四章 臓心ノ黒
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9 日の夏、ヒ逅邂リ廻

「出掛けるんですか?」

 普段と違う周囲の様子に戸惑う。外出のために履かされた安っぽいサンダルが不安を煽る。栄養状態が良くなり、少しふっくらした高橋の横を、冬の風が吹き抜けていった。

「サンダル、寒いんですけど。他ないんですか?」

 取り調べのときに会う刑事とは違う人物。いかつい顔つきで、怒っているように見える。

「文句言うな!」

 低い声で一喝されると、反駁の余地はない。シュンと下を向いて、準備が整うのをただ待つ。

 刑事さん、冷たいなぁ。東京の人ってどうしていつもそんなにぴりぴりしてるんだろう。

 車までの短い距離すら、ビニールシートで遮られている。屈強な刑事に挟まれて座った座席が、思いの外快適で驚いた。目張りの向こうから光るフラッシュに戸惑いを隠せない。

「……凄い。芸能人みたい」

 隣から聞こえた嘆息に唇を噛み締める。腰に巻かれた紐にはまだ慣れず、違和感があった。

 無言の車はどんどん進み、見慣れた風景が見えてきた。人気のないトンネルの入り口で提出すると、どこからかまたフラッシュが光った。

「降りなくていいんですか?」

 訊ねると降りる必要はないらしい。ならばなぜわざわざ来たのかと首を捻るが、形式上必要なのだろうと納得した。

 とりあえず説明すればいいのか。高橋は窓越しに指を指す。

「あそこで切りました。ノコギリを使って……棄てたのは、左のほう」

 小屋のような建物を指差し、さらに山奥を指し示す。

「スーツケースに入れたよね? 解体したのに、なぜ?」

 視界の隅でフラッシュが光った。眩しいわけではないのに、なぜか無意識に瞬きをしてしまう。

 視線が右上を彷徨う。思い出すように瞳を閉じ、そした開口した。

「箱入り娘、みたいな」


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