10 ん、意味無い
5月25日 水曜日。
今日は病院へ行った。歯医者と同じで、一度行くと通うことになるから病院は嫌いだ。これには医者の陰謀が絶対に働いていると思う。薬局と癒着しているのもなんだか腹が立つ。
待っていたら高橋に会った。
「あ、高橋じゃん」
「先輩……ですよね。こんにちは」
「整形したんだっけ?」
「いや、整形はしてませんけど、手術はしました」
高橋も医者の策略に嵌まっているようだった。水曜日にはリハビリに通わなくてはならないらしい。
「友一、だけどさ」
「はい」
「いや、なんでもない」
友一の名前を出しても、奴はあまり動揺していなかった。友達だったらしいのに薄情な奴だ。いやに丁寧な話し方をして、礼儀正しかった。あんなキャラだっけ? 苛々したが、舌打ちはしなかった。
もしかしたら、友一は高橋に殺されたのかもしれない。自殺なんて、どう考えても不自然だ。私と同じ学校に受かって、友一はあんなにも喜んでいたではないか!
看護師さんは相変わらず優しかった。しかし彼女逹の台詞にも、マニュアルがあるそうだ。注射の下手な医者よりマシだが、油断はできない。医者は基本的に傲慢だから嫌い。若いやつは基本的に駄目だ。気持ちが悪い。人間頭が良ければそれでいいというわけではないと思う。
そういえば、昔、夜に救急で行ったとき、お姉さんに二回ほど注射を失敗された。人格よりもやはり実力が大事であるのかもしれぬ。練習させたいのは分かるが、私を実験台にしなくても良いのではないか、と言いたくなった。まぁ、綺麗なお姉さんだったからよしとしよう。




