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J シュルレアリスム
「なんで私服なんだよ。ハロウィンだろ」
「その言葉、そっくりそのままお返しするぞ。だいたい俺はさっきまで仕事だったんだ。仕方ないだろ」
リピッシュとホフマンは言い争いながらも、お互い本気で怒っている様子はない。親しくなくても同級生だから、やはり以前にも少しは接点があったのかもしれない。
「そういえばリサのお兄様はどうした? 俺、会いたかったんだけど」
リピッシュは残念そうな口調で唇を尖らせる。
「お化けが出るから来ないそうです」
嘘だった。実際は、一人で篭って部屋でごそごそ何かをしている。最近はメイド達の間で、彼女にフラれたからヤケになっているとかいう噂になっているが、本当は爆弾を作ろうとしていることは莉沙にはなんとなく分かっていた。
「なにアイツ、そういうの信じるタイプには見えなかったのに……あの潔癖症だろ」
ホフマンはそう言いながら、骨董品の時計を眺めた。




