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神さまに逆らうな!  作者: つなかん
二章 HART
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8 アルゴリズム

「俺、爆弾作りたいんだ」

 いきなり呼び出されたと思えばこれだ。油断も隙もない。

「何に使うの?」

 興味のあるフリをして聞いてやる。まぁ一応は、授業をサボった甲斐があるというものだ。

「俺の潔癖症を克服してくれた先輩がいて、その人の役に立ちたいんだ」

 潔癖症? あぁ、そういえばバカ兄貴、潔癖症だったなぁ。一時期は、ドアノブ用ハンカチとか持ち歩いてて気持ち悪かったし。

「そういえば、エタノール臭くなくなったね」

 エタノールだけでない。強いナフタリンの香りもしない。おそらく、その他諸々に使用していた薬品も、今は一切使っていないのだろう。莉沙は田島の言う、先輩の存在を訝しんだ。

「彼女?」

「え……ま、まあ」

 目を白黒させる田島に、莉沙は鼻を鳴らした。

「へぇ。で、写真とかないの?」

「え、あぁ。あるけど」

 ポケットから折り畳んだそれを差し出す様子に、さすがにずぼらなのではないかと首を傾げる。一体どんな女なんだろう。

「あ、なかなか美人。やるじゃん」

 想像していたよりも小綺麗で、さっぱりした印象だ。黒目勝ちな瞳か悲しげだが、背後の桜同様儚さがある。

「たまにおかしなことを言うんだ。『死にたい』とか」

「美人の上にメンヘラか、レベル高いな。おもしろ」

「笑い事じゃないんだけど」

 田島は困ったように眉を顰めた。“メンヘラ”の意味を思案しているのか、視線が左右に揺れている。


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