18/53
4 シンポジウム
その日、寮の食堂は騒がしかった。コーヒーメーカーに毒がしこまれていたとかで、数人が病院送りになったそうだ。
莉沙はどこ吹く風でオレンジジュースを飲み、噂話に聞き耳をたてる。
馬鹿な奴らだ。バレたら退学だけれど、絶対に捕まりっこない。
友達のいない彼女は、“気違い先生”とかいう、名誉なのか不名誉なのか分からないあだ名をつけられていた。頭が良い、ということもあるが、その偏った知識に対する皮肉も込められているのだろう。当の本人は内心喜んでいる節も、なきにしもあらずで、救いようがない。
ポケットに手を伸ばし、瓶の形を確認する。彼女は悩んでいた。
どこに処分しよう……。