10.決断
僕は拘束から抜け出して、両手を広げてビントリスの前へ立ちはだかる。
オカフュさんが僕に銃を向けていることに気付いて、銃を落としかけた。
「トッカーブ君、彼は犯罪者だ。それに君の唇を奪うような野蛮な男だよ?」
「そうかもしれません。でも、僕は彼と話をしました。彼は爆破に関わっていません。実行犯は組織にいる彼の友人だそうです。確かに解放戦線のリーダーではありますが、彼自身は解放活動を行っていただけの善良な市民です」
「いや、すでに公務執行妨害だ。トッカーブ君、早くこちらへ……」
オカフュさんが銃を下ろして、僕へ腕を伸ばしてくる。
ビントリスに出会わなければ、喜んで彼の胸に飛び込んだはずだ。
だけど……僕の心は決まってしまった。
「すみません。僕は彼と一緒に行きます。僕自身も罪に問われるかもしれないけど、彼と一緒に新しい世界を見たいんです」
「トッカーブ、お前……」
僕はビントリスの手を握る。決して選んではいけない選択肢なのかもしれない。
それでも、僕は選びたかったんだ。
「行こう!」
「フッ。悪いな、イケメン。コイツはもらっていく」
「なっ……」
僕の宣言に固まってしまったオカフュさんを置きざりにして、僕たちはその場から逃げ出した。
もっと大きな騒ぎになれば、人が集まってきてしまう。
その前に、必死に走る。
ビントリスは本当に足が速くてついていけなくなりそうだったけど、彼は途中で僕を抱き上げて走り始めた。
町の明かりは、どんどん流れていく。
これからどうなるか分からないけど、僕はビントリスを選んだことを後悔しないだろう。




