表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編練習  作者: 太川るい
8/27

乗りあい

「ええ、なんでえ。やってられるか」


 向かいに座っている男が、ムニャムニャと言いながらそのようなことをつぶやいている。


「いったい、誰のおかげでここまで…………」


 そう言って、大きく鼻をすすったあと、男は大きないびきをたてて眠りだした。手に持ったパック酒は落ちるか落ちないかでいる。


 周囲の人間はこの酔った男が車内に座りだしたあたりでそそくさといなくなり、あたりには向かいの席に座る私しかいなかった。


「この人は」


 私は手元の文庫本を読むふりをしながら男を眺めた。


「きっと最後まで、ここにいるだろうな」


 そう私は思うともなく思った。


 男の胸元には小ぶりな、白い花があしらってある。


 まだこの電車は終点まで間がある。私はこの人と一緒にそこまで乗っていこうという気になった。


 誰が喋るでもなく、時間が過ぎていく。


 絶え間なく揺れる車体は、二人を運んでいった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ