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酒瓶
「そうしてあなたは私を見捨てておしまいになる。これはもう、分かりきっていることなのです」
聞く耳を持たないという風に、彼は手を振って私にそう言い放った。瓶の中の酒はだいぶ減っている。
「あなたはいつもそうだ。こちらに期待をさせるだけさせる。私は夢を見る。あなたとの楽しい夢を。だが、それだけだ。あなたはそれを叶えてくれようとはしなさらないのだ。私のこの気持が、あなたに分かりますか」
私は何も言えないでいる。そんな私を、彼は軽蔑するような目つきで見ながら酒を飲んだ。
「いいのです。すべて私から始めたことだ。文句は言いますまい。だが、これだけは言わせてください」
彼が、顔をこちらに向ける。
「あなたは、最低の人間だ」
そう言って、彼は店を出ていった。私はそのまま、一人取り残された。
周囲の席はにぎやかだ。私は彼の残した酒瓶を、いつまでも眺めていた。