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初夏
「暑いでしょう。少しお休みなさい」
額にかかって濡れタオルが取りかえられた時、私は目を覚ました。ここはどこだろう。
先生は、穏やかな手つきで取り替えたタオルをまた水に浸していた。保健室には私と先生以外、誰もいないようだった。
「先生、授業は……」
全身がだるいなか私が起き上がろうとすると、頭に鈍い痛みが走った。
「まだ休んでおいたほうがいいでしょう。塩飴でも食べますか?」
そう問いかける先生に、私は力なく首を振った。そのまま起こしかけた上体をまたゆっくりと元に戻す。まだ何かをできそうな体力は戻っていなかった。
エアコンの音の合間に、先生が紙をめくる音が聞こえる。何かを書いているようだった。
しばらく横になっている。この体勢が、今は一番楽だった。
たしか、体育の時間にいきなり具合が悪くなり、座り込んでしまったのだ。朦朧とする意識の中、友達が肩を貸してくれた。私のいまいる場所が入ってすぐのソファなのは、すぐ横にした方がいいと思われたからだろう。
どのくらい寝ていたのだろうか。まだ動く気にはなれない。先生の言葉に甘えて、私はそのままでいた。




