表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/15

マユのアドバイス

「セイ、……大変な1日だったわね」

 マユは言葉では労い、

 好奇心で瞳キラキラ。


「綺麗な男の子は19才の青年だった。

 死んだお爺さんには、熊のぬいぐるみ、みたいな友人が居て、

 その『熊さん』が、お爺さんに頼まれて犬を安楽死させたのね。

 熊さんは……、アリスを剥製と見破ってる。……思いも寄らない展開ね。っていうか、

 思いがけない出会いかも。セイは、熊さんに、また会いたいんじゃないの?」


「鈴森さんとは、又会えると思う。カオルが誘ってたから。

 だけどさあ、中村家との繋がりは切れたかも。

 爺さんと犬の件が、あっさり片付いたから」

「人殺しのシモン君にもう会えないかもしれないのね……誰を殺したのか探れないじゃない」

「うん。もうあの一家と会う理由が無くなった」


「こんなにあっさり終わるなんて予想外ね。せっかく徹夜でアリスに細工したのにね……あ、でもね、鈴森さんから情報を得られると思うの」

「あの人から?」

「ええ。お爺さんからシモンくんの話、聞いてるんじゃ無い? 可愛い孫でしょ」

 

「そりゃあね。だけど可愛い孫だったかは、分からない。俺はね、老人は自殺したと思うんだ。記憶障害を自覚していて、その上に孫を化け物と認識していた。かろうじて犬の為だけに生き長らえていたような……そんな気がする」

「犬を置いては死ねなかった……そうかもしれないわね」

「犬の病気も末路も知っていて、いよいよ終わりが近づいてきてると分かって……でも自身が頼りに出来なくて友人に最期を託したんだろ」

「思い残しが無くなり安心して、犬より一足先にあの世へ行ったの?」

「そうだろ。……俺の推測が事実かどうか、鈴森さん聞けば、わかるよね。でも、肝心のシモンのコトは、特殊な病気ってくらいしか知らないかも」


「祖父と孫は冷たい関係だったの?」

「うん。自殺したい理由の1つだろ。『化け物』呼ばわりしてたんだし」

 

 シモンは言っていた。

(お爺ちゃんは『跡取りが化け物では中村家は、おしまいだ』って嘆いてた。可哀想でした)と。


「そうなの……化け物は、悲しい言葉ね」

「うん。シモンは人殺しだけど、可哀想だよ。両親は凄く大切に扱っているけど」


「なるほどね。ところで、鈴森さんは何時から養豚所に?」

「え?……聞いてないけど。なんで?」


「お爺さんは半年前から同居、よね。鈴森さんの方が長い間、シモン君を見ている可能性も有るんじゃ無いかと」

「確かにそうかも。田んぼの中の一本道なんだ。養豚所に行くには必ず家の前を通る。そして道路から庭は丸見え。ずっと見てきたかも知れない」


「シモン君が殺した3人も、見てるかも」

「成る程。それも有り得る。殺された一家は、中村家と親しい関係だったかも」

 <人殺しの徴>は、

 同じ結婚指輪をした男女と、

 5才くらいの子供の手。

 聖は家族と認識していた。


 だが、

マユは初耳と、驚いた。

「家族って……そこまで分かるのね。凄いわ」

「いや、子供と夫婦の関係は、憶測だよ」

「夫婦は、確かなのね」

「まあ、そういうことかな。結婚指輪、見たから」

「結婚指輪ですって!」

マユは立ち上がり、静かに歩く。

 何か考えている。

「あ、そうだわ」

 答えが出るまでに長い時間は要らなかった。


「家族と仮定しましょう。3人同時に殺されたと想定し、該当する事件、事故を探してみない?」

マユの視線はパソコンへ。

今すぐ検索しなさいと、言っている。


「そだね」 

 探せるのか?

 <一家3人死亡>とでも打ち込んでみるの?

 沢山、出てきたんだけど……。

 一家、3人、死亡、単語に一致する関係なさそうなのが一杯。


「年齢が一致する家族の……画像で探しましょう。その方が早いかも」

 マユは隣に座り、真剣な眼差しをディスプレイに向ける。


「画像検索、してみたよ」

 3人家族でもない画像が殆ど。

 3人家族の写真も、事件性の無い、ただの家族肖像だったりする。


 年齢が範囲内の画像を、一枚ずつ元を辿る。

 映画の写真だったり、ブログだったり……。

 1時間、探し続けても、該当する家族は出てこない。


 (ちょっと休憩する)

 マユに言おうとした、その時に、

 一枚の画像に、視線が止まった。

 不気味な写真だと……思った。

 

 女が、子供を抱いている写真だ。

 若い母親と、4才くらいの女の子。


 母親は微笑み、子供も歯を見せて笑っているが、

 聖には、死者の写真に見えたのだ。


 画像をアップしてみる。

 母親の左手に、見覚えのある細いリング。

 

 シモンが殺した女に違いなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ