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非公式な首脳会談


「美味いのかい?」


「うん?」


海を見ながら煙管を吸っていた男に、大陸の大統領が話しかけてきた。


「吸うかい?」


「いや、私は煙草を吸わないのだよ」


「煙草じゃないぜ」


「まさか!? 麻薬…… かい?」


「いや、異世界では薬煙と言われる肺や気管支系の治療薬だよ。ちょっと空気が悪いところに行っていてな」


「そんな薬があるのかい? ところで…… この国の成人年齢なんだが…… 低くないかい?」


「う~ん…… この世界では問題になるか?」


「今の世界では、10代の妊娠出産に多くは批判的だ。特に先進国ではね」


「やっぱり? うちの場合は…… 国民の大半が移民だしな~…… あと種族的な問題もあるんだよ」


「動画のドワーフかね? 彼女は…… 本物なのかね?」


「本物だよ。そこに居る人魚もな」


水面から顔を出して、手を振る人魚の少女に男が手を振り返した。


「リトルマーメイド…… 実在するのか……」


「とまあ…… こんな感じで、異種族が多くてな。動画のドワーフ…… メノウとかみたいに人と結婚する可能性があるんだよ」


「うん? それらと成人年齢が低いのには、関係があるのかね?」


「生物的な問題だ。医療や食料の安定化で人の寿命が延びたが…… 子を産める期間が延びた訳じゃないからな。前世でも、長寿を理由で子を作らずに、人口が減って滅んだエルフ族の村があったしな…… それに、人も病気や怪我であきらめる場合があるだろう? 結婚の年齢が下がれば、それ系の定期健診を…… 若い内から受ける様に国で指導しやすいしな」


「国民の為にかね?」


「まあ、性に対して閉鎖し過ぎても…… 子供が減るし、それ系の病気や怪我の治療も受け辛くなるからな…… だから、うちの国ではそれ系の年齢を低めに設定するんだとよ」


「君が決めたのでは無いのかね?」


「うちの代表者達の会議で決まった」


「難民達の意見か…… 確かに、少数民族や途上国などでは10代で結婚が当たり前の場合も多いが…… その多くが権力者に無理矢理などの望まない婚姻だが?」


「俺がハーレムをってかい? 無理無理、女心なんて解らんし、好きな奴と楽しく居れれば良いから…… それに……(魔王が何時もダウンするのに、普通の人間が俺の相手をできるか…… 解らんしな……)」


「なにか言ったかい?」


「いや、独り言だから気にしないでくれ…… とりあえず、お隣の少子化問題とか見てると、うちは自国民が少ないから50年後には…… 自国民が数人とかになりえるからな。女性が若い時から無理せずに、産みたい時に産める環境にするだけだ」


「生物的にはそれが良いのかも知れんな…… 私の国では世論が許さんだろうけどね」


「女性の権利とか社会進出とかの問題か…… 出産も女性にしかできない権利で、立派な社会貢献だからこそちゃんと受け入れる社会を作らないと…… いけないんだけどな」


「なかなかに難しい問題だね……」


男と大陸の大統領は、互いに苦笑いを浮かべて笑うのだった。



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