男、結婚の相談をされて……
「王様!」
「うん? どうした?」
海岸の岸壁で…… 人魚達の接待釣りをしていたら、出稼ぎ冒険者の一人が覚悟をした顔で話し掛けてきた。
「お、王様…… お、俺…… けけけ、けっ、結婚したいんです!!」
「結婚? したらいいじゃん?」
「それが…… あの……」
「なんだよ? はっきり言えよ」
「その…… 相手が…… ですね……」
「相手が? 居ないのか?」
「いいえ! その……【メノウ】ちゃんなんです……」
「メノウ…… ドワーフのメノウか!?」
「はい!」
冒険者の相手のメノウは…… 男のダンジョンで〝生まれたドワーフ〟だった。
「メノウか…… 一応、肉体的には成人なんだが…… 生まれて1年だった様な…… 大丈夫か?」
「その事も本人から聞いています。けど…… 考え方もちゃんと大人って言うか…… 自分と同じ感じでして…… それに何よりも! 一緒に居るのが気持ちいいんです! こんな感情! 初めてで、彼女も同じだって……」
「う~ん…… よし、わかった! ちょっと確認して来るから後でな!」
「え、あ、お、王様!?」
「後でな~」
冒険者を残して、男はコアに会いに戻った。
・
・
・
「なるほど…… ダンジョンで生まれた種族と出稼ぎさんの鯉ですか…… あらいですか? それとも…… 煮付け?」
「いや、魚の話じゃなくてな…… で、実際は…… どうよ? 結婚して…… その…… 幸せ家族計画的な事ができるのか?」
「できますよ」
「できるのかよ!?」
「この国の中ではの、前提条件が付きますが…… 今いるダンジョンで生まれた種族達は、私を通して最低限の成人としての知識を持って生まれていますし、その後も経験を蓄積してますからね。成人として扱っても問題ありませんよ。ただ…… 魔素が必要な種族がほとんどなので、この国以外では長く生きていけないですけど」
「そうか…… ドワーフやリリペットは半妖精や半精霊の種族だったな」
「はい、獣人よりは人族に近い見た目をしていますが…… この世界では獣人よりも他所の国に適応し辛いですね」
「まあ…… その辺の事とか注意事項を伝えるだけ伝えて、後は本人達に任せよう」
「了解しました」
・
・
・
「「「「「おめでとう!!」」」」」
男が冒険者から相談されたその数日後……
「王様、ありがとうございます!」
「ああ、ちゃんと幸せになれよ!」
「はい、二人でちゃんと幸せになります!」
急ピッチで建設したチャペルに…… 新郎姿の冒険者と新婦姿のドワーフ女性の二人が居た。
「お二人の間に生まれた子ならば、この世界でも適応できるでしょうから安心して、子作りをがんばって下さい♪」
「は、はい」
「あ、その…… が、がんばり…… ます……」
コアの言葉に二人は……
顔を真っ赤にしながらも、とても嬉しそうな笑顔で笑ったのだった。




