男、サブダンジョンの仕様を変更される。
「なんじゃ…… こりゃ!?」
占拠された元リゾート施設を奪還、施設にいた負傷者と死者……
占拠していたテロリストを引き渡した男達が、ダンジョン化した廃坑に戻ると……
「これは…… 妖精が発生していますね」
色とりどりの鉱石が光り、妖精達が舞う…… おとぎ話の妖精の国の様になっていました。
「モンスターが発生しないって…… 言ったよな?」
「はい、ダンジョン化による余剰魔力……〝魔素〟は、魔水晶の生産に回される設定にしたはずですが…… これは、魔素が吸われている? 何かダンジョンに影響している様です」
「何か?」
「こちらですね」
コアの案内する方に付いて行くと……
「壁にゃ……」
「壁だな……」
「壁ですが…… この様に…… 隠し扉が隠されてました」
コアが岩壁の一部を持つと…… カチッ! 音がなって横にズレて、隠された扉が現れる。
「隠し扉…… そんなの設置していたのか?」
「いいえ、ダンジョン化する前から有った物ですね…… 魔素が吸われているのは、この中です」
「さて…… 何が出るか」
男達が隠し扉を開けると……
「にゃ!?」
「これは……」
「〝召喚〟の魔法陣ですね…… いったい誰が……」
扉の先には…… 地面に光る魔法陣が掘られた小部屋が在った。
「召喚…… 妖精が発生した原因は、この魔法陣か?」
「にゃん! この魔法陣…… すごいにゃ♪ すくにゃあ魔素を効率的に無駄にゃあ使用するにゃ!」
「うお!? 魔王が興奮しだしたぞ?」
「無理もないですね…… この少ない魔素で、かなりの高位種を召喚する魔法陣の様ですが…… 残念です。この魔法陣だけでは…… 召喚後の召喚した相手の存在を維持する魔素が足りず、成功しません」
「あまにゃあ!」
「魔王ちゃま、どういたしましたか?」
「コア、壁を見るにゃ」
「壁ですか? これは…… 魔水晶を? そんな…… まだ精製には、早いはずですが?」
「この魔法陣の作用にゃ…… この魔法陣にゃあ効率的に魔素を集束して、精製を早めたにゃ…… それに見るにゃ」
「妖精達が…… 魔水晶に集まっている? まさか…… 魔水晶が〝妖精石〟になっているんですか!?」
「妖精石…… 確か、妖精の国に在る高純度の魔宝石だったか?」
「はい、妖精達の身近に在る鉱石に妖精達の魔力が蓄積して、魔宝石になるのですが…… それには最低でも、100年以上が必要なはずです…… それも、この魔法陣の効果ですか?」
「そうにゃあ♪ この魔法陣を持ち帰れば…… きっと、世界樹の成長に役立つにゃあ」
「そうですね…… 集束部だけでも使えれば、さらに効率化できますが…… とりあえず、この妖精達をD国に送りましょう」
誰かに設置された召喚の魔法陣が召喚し続けた妖精達を、D国のダンジョンに送り……
「とりあえず…… 最初の魔水晶精製ダンジョンに戻すぞ」
結局、男は……
魔法陣の解析とダンジョンの修正に……
数日を要して……
魔法陣を設置した〝何者か〟の存在を忘れるのだった。




