男、大統領から依頼を受ける。
「おっと……」
「マスター、どうしました?」
「大統領から電話だ……」
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「ここかにゃん?」
「ここですね……」
「ここだな……」
男と魔王、コアの前には……
「この一帯が巨大リゾート施設…… 現国際的な医療支援病院とその関連施設ですが……」
「今は、謎の武装集団に占拠された無法地帯だ」
男は、坑山の件で世話になった大陸の大統領から連絡で……
『すまないが…… その近くの国際的医療支援団体の施設がテロリストに占拠された…… 助けてくれ』
と、頼まれた。
「どうやら…… 医療施設が集中している元高級ホテルに、武装集団が集中している様ですね」
「病院にゃか襲撃して…… にゃんににゃるにゃ?」
「さあな…… そいつは、襲撃犯に聞くとしよう」
『われのでばんでしね』
男が空中から…… 黒い刀を取り出した。
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「これは…… 酷いな……」
黒い刀…… 黒翼丸の効果で、病院を襲撃していたテロリストがバッタバッタと倒れていく中を、歩く男が見たのは……
「医療団体の医師か…… 蘇生は?」
「無理ね…… 精神が死を受け入れてしまったわ…… 死を見過ぎたのね……」
呼び寄せた吸血鬼女王が寂し気に呟く……
精神が無ければ、肉体を蘇生しても生ける屍になるだけ……
そうなれば、やがて肉体も腐り…… 意志の無いゾンビになる。
「残念だが…… 弔ってやろう」
気絶したテロリストを拘束して、負傷者と死者を集めていると……
「大変にゃ!」
「どうした?」
「マスター、4階に来て下さい」
魔王とコアが、男を呼んだ。
「これは…… どうなっている?」
4階の壁に、テロリスト達が……〝埋め込まれて〟いた。
「微かに…… 魔力の残思を感じます」
「にゃれかにゃ…… 土の魔法を使ったにゃ……」
「何!?」
「空間の魔力量からして…… 打撃戦で倒した相手を壁に拘束した様ですね…… 無駄の無い魔力操作…… かなり魔法を熟知していますね」
「そいつは…… 近くにいるのか?」
「魔水晶の装飾品が邪魔で…… 正確に探せませんが…… 大きな魔力の反応は、ありませんね」
「テロリストの多さに…… 逃げたにゃん?」
「そうかも知れませんね…… 空間魔力が無ければ、魔法での攻撃がほぼ無理ですからね」
「そうか…… とりあえずは、確保して置いて…… 負傷者を保護が最優先だ」
その後は、魔王の魔法で壁からテロリスト達を掘り出し、大陸の特殊部隊に負傷者や死者と一緒に引き渡した。
そのさいに…… 5階の壁に埋め込まれたテロリストから、此処を襲撃した理由が判明したが……
「あの…… 元自動車会社の逃亡したCEOの親族が作ったリゾート施設だったとは……」
「テロリストの一人が元ベルボーイで、大荷物を持っては泊まりに来る…… その人物を見ていたそうです。帰りの荷物が少ない事から、この建物に隠していると思い込んだみたいですね」
逃亡した大社長の…… あるか解らない隠し資産を狙ったアホが……
やらかした事件だった。
「あら?」
「どうした?」
「いえ…… ダンジョン化した坑山で、魔力の反応があったのですが…… どうやら、魔水晶が反応しただけの様ですね」
「そうか……」
小さな生存者を……
男達は…… 見逃したのだった。




