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助けられた者と助けられなかった者……


あけまして、おめでとうございます。


今年も、よろしくお願いいたします。


「世界樹の魔力を受けた事で…… 半精霊化した様です。言うなれば…… エレメントヒューマンと言った感じですか?」


「ハーフ精霊とにゃハーフ人間って感じかにゃん?」


「それだと、親が精霊と人間って事にならないか?」


「どちらかと言えば…… 亜人と言われる分類になりますかね」


「亜人…… 吸血鬼とか鬼と同じ様な分類って事か……」


「妾の同類かしら♪」


「伏せ!」


「ぶべ!?」


突然現れた吸血女王に男が素早く伏せを命じると、吸血女王が地面に顔面を叩き付けた!


「おい、コア…… 聖銀の十字架持って来い」


「はい、無垢で幼い子供が汚染されない様に…… 聖水も用いて、徹底的に浄化しましょう」


「ま、待ちなさいよ!? 報告! 頼まれた事の報告に来たのよ!」


「報告ですか?」


「貴方達ねぇ…… 甦生が必要な自殺者の希望を確認して欲しいって、妾に依頼したでしょうが!」


「そう言えば…… どうだった?」


「たく…… 半数はダメね。精神が生きていないわ…… あの状態で甦生したら、意思の無い生ける屍のゾンビになるわ」


「やはり……」


男の前世の異世界でも、あまりの扱いに自殺した者達がいた。


死体があれば甦生できるとは言え…… 心までは甦生できない。


精神が磨耗してすり切れた魂は、肉体に戻る事を拒む事があり……


その状態で甦生すると、アンデッドになってしまうのだ。


「このまま甦生して、妾の配下にするか?」


「いや…… 肉体は、なるべく本人の希望通りに埋葬して…… 魂を送り出そう」


 ・

 ・

 ・


「はい、もしもし?」


『初めまして、こちら…… D国の出版社なのですが…… 佐藤一さんのご自宅でしょうか?』


「D国の出版社…… 外国の出版社が自殺した息子に、何の…… 用ですか?」


『実は、生前の息子さんがネットに上げていた小説の…… 出版して販売する許可をいただきたいのです』


甦生を拒否した魂の一人が未練に、親孝行を上げたので……


男は、彼の書いていたweb小説をD国で出版販売して、その著者権料を彼の両親に払う事にしたのだ。


彼の書いていた小説は未完だったので、吸血鬼女王が魂の彼に続きを聞いて完結まで書いた。


その後、出稼ぎの冒険者の中にマンガ家を目指していた人物がいたので、コミック版も販売すると……


「これは、何のマンガ?」


休暇に来ていた大陸の軍人達が土産に買って帰り……


軍人達の家族がSNSで紹介した事から、大陸から輸入して欲しい要望が来て……


そこそこ売れる事になると…… 彼の魂は満足気に昇天した。


「魔法ありのファンタジーバトル物だから…… うちで実写化するか?」


「うちには、海外実績がある有名子役がいますからね」


「監督やスタップは…… どうする?」


「出稼ぎ冒険者の時の様に、募集しますか?」


後に…… 原作の再現率の高さから、大陸の有名映画祭で海外映画賞を受賞したのだった。


その時、男は……


何処かで、彼が笑った気がした。



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