明日を生きる為のダンジョン作りその2
『……魔力が一定に達しました。製作するダンジョンの設定を開始しますか?』
「にゃ! も~いいのにゃ?」
「だいたい中級モンスターの100個か…… 中規模都市の結界魔導具の一年間の燃費くらいだな。まだ全然有るぞ?」
『ダンジョン製作には、段階的な魔力補給が必要です。それには先ず、製作するダンジョンの初期設定をお願いします』
「初期設定ねぇ…… パソコンみたいな事を言うな? 俺、ああゆうの苦手なんだよなぁ……」
「にゃん? だいじょうぶにゃ、どうゆうダンジョンがいいにゃ~コアに言えばいいにゃ♪」
『はい、どういったダンジョンをお求めでしょうか?』
「不動産屋か!? そうだなぁ…… 世界樹が育ちやすい環境で…… 俺達が住める感じかな?」
『……ご希望通りに世界樹を育てる環境には、精霊、妖精、エルフ等の協力が必要です。その種をダンジョンモンスターとして生成しますか?』
「えっ…… エルフって、ダンジョンモンスターに出来るのか?」
「うにゃ? ゴブリンも妖精にゃし、元が精霊にゃエルフもだいじょうぶにゃんじゃにゃいかにゃん?」
『ダンジョンモンスターとして、生成したエルフのサンプル映像をお見せしますか?』
「そんなんあるのか? 親切なんだな…… 見せてくれ」
『どうぞ……』
魔導ランプの薄暗い灯りの中で、ダンジョンモンスターエルフの立体映像が現れる。
「にゃぁぁぁぁぁ!?」
「カットカット! 止めろ、今すぐ消せ…… 早く!」
ダンジョンコアが映し出したのは…… 長く尖った耳と緑色の長い髪の有名ホラー映画の女性の悪霊の姿をしていた。
「にゃ、エルフ違うにゃん…… あんにゃエルフいにゃいにゃ……」
ガタガタと震えながらしがみつく魔王少女を宥めながら、男がダンジョンコアを睨む。
「あんなんいたら、俺達が住めんぞ」
『失礼…… 間違えて、レアなゴーストエルフの映像が流れました。本物はこちらです』
「にゃ? 肌にゃ黒いにゃ?」
「ダークエルフって奴か? 前の世界で砂漠にいるエルフ族だったはずだが?」
『はい、ダンジョンモンスターなので、より攻撃的な種を選択しました。如何でしょう?』
「う~ん…… エルフって、そんなに必要か?」
『世界樹を外敵から護るのがエルフですので、防衛の為にも必要な種です』
「いや…… 此処って、ダンジョンの最深部だぞ……」
「必要にゃいにゃ……」
『必要…… 無さそうですね……』
とりあえず、世界樹の世話に精霊と妖精を配置する事に決定した。