冒険者志望以外の応募者
お待たせしましたm(_ _)m
書き溜めのストックが無いので、不定期更新です。
すいませんm(_ _)m
「料理人の菓子職人志望の貴女には、この店舗で腕をふるってもらいます」
応募者の中からは、多数の冒険者志望者がいたが……
その他の職種を志望する応募者達もいた。
二十歳になったばかりの彼女も、その一人だった。
彼女は、有名な洋菓子店で定時制高校に通いながら菓子職人を目指す見習いをしていた。
その洋菓子店は、小さいが他の菓子職人達にもファンが多い名店だった。
そんな洋菓子店には、腕を上げる為にいろいろな菓子職人志望の見習い達が集まっていた。
その中でも…… 彼女は優秀だった。
彼女は努力家で、その菓子に対する姿勢や明るい人柄を洋菓子店の亭主や職人達も認めていた。
その事が……
他の見習い達の反感を買う事になってしまった。
彼女が見習いをしていた洋菓子店は…… 今は無い。
将来的に他の有名店の後継ぎとなる見習い達が他の見習い達を唆し、食中毒事件を起こして彼女を犯人に仕立て上げたのだった。
食に対するこだわりが強かった洋菓子店の亭主は、店を閉める決意を決めて、職人達の行き先を捜した。
無論、彼女の行き先も捜したが……
事の発覚を恐れた見習い達は、結託して彼女を書き込みなどで追い込んだ。
そのあまりに酷い誹謗中傷に……
明るい人柄だった彼女は、見る影も無い程の対人恐怖症になってしまった。
「もう…… やだ…… 人が恐くて…… 死にたい……」
彼女が死を考え始めた頃、自分達に迷惑をかけない様に努力していた娘の為に、彼女の両親は彼女の大好きだった菓子作りが出来る環境を探していた。
「ねぇ…… 外国でお菓子作りしてみない?」
そして、彼女は両親の薦めでD国に来た。
その手で、もう一度……
大好きだったお菓子を作る為に……
「この甘い匂い…… ひさしぶり…… よし!」
彼女は、調理服に着替え始めた。
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「座長…… 本当に此処でやるの?」
旅芸人の一座と劇団員達は、男の作った劇場に連れられて来ていた。
「でかいなぁ…… 季節劇場と宝の塚劇場を超えてる……」
彼等は、あのバイオテロ事件の間接的な被害者である。
男が大陸への元少年兵を使ったウイルス拡散を防いだが…… 小数の旅行者等に感染者の症状が出た為に、ワクチンや特効薬の量産体制が整うまでに……
ちゃんとした支援対策無しの外出自粛を国が求めた為に、多くの飲食店や芸事の客が激減……
その事に未来を悲観した有名な俳優女優が命を断ち、彼等も職を失った。
「この御時世…… 芸事では生きれないのかなぁ……」
小さな旅芸人一座と小劇場の劇団員達は、生きる術を失い途方に暮れていたが……
「これは…… この国で生きれないのならば、俺達は旅芸人一座。芸事で生きる場所に旅立つだけだ!」
「劇場の支配人と劇団員も募集…… この仕事しか知らない私だが、劇場ならば仕事が出来る筈…… 劇団員達にも声をかけてみるか?」
こうして、でかいホームシアター扱いだった劇場は本当の劇場として動き出したのだった。




