男、他国から元祖国が交渉したがってると、聞かされる。
その日は…… 話があると、大陸の大統領が島に来ていた。
「彼等が…… 例の難民孤児かい? うん、健康そうだな」
「〝今は〟健康だぜ。連れて来た時には…… 骨と皮の様だったけどなぁ」
「そうか…… 今、彼等が笑えているならば…… 未来の子供達も笑える世界である様に、我々が努力しなければなぁ」
「そう言う世界である様に祈るさぁ…… で、何用だい?」
「実は…… 君の祖国だった日本が、君と交渉したがっている」
「交渉? 何を交渉するって?」
「元が日本の山々だから日本の物として、この島を渡せ…… と、言った事を言いたいらしい」
「よくもまぁ…… 俺の様な者達を切り捨て来たのは、自分達の癖になぁ…… 俺達の頃には、人と違うと殴られたり攻められて…… 許されるのは、成績の順位を競う事と世界に通用する様なアスリートになる事だけで…… 人付き合いの出来ない馬鹿には、人権なんて無い様な感じだったし…… 少しでもズレたら…… 突き抜けた一部以外の者達は、社会から切り捨てられる。まともに就職活動して職に就けるなら、お役所なんか行くかよ! 馬鹿野郎がぁ~!!」
「日本の政策が嫌いなんだなぁ…… 私も気を付ける事にしよう」
「彼奴等は…… 問題だ問題だって、言うだけで…… 肝心な部分を民間に投げやがる。だから、肉体労働者の賃金が安いんだ。俺が中卒後に働い所なんて…… 朝から晩まで働かされての日給8000円くらいから、道具費やなんやら引かれた手取り10万いかない程度の上に、道具で殴られたりのパワハラだったぞ! 15のガキに! そりゃあ人間不信になるって!」
「今ならば、普通に虐待で通報される可能性があるね」
「もうさぁ…… あの国は、ある程度の年齢以上で普通に就職出来ない人には…… 診断して、国がそれぞれに合った仕事を斡旋する様にすれば良いんだ。月に何十時間労働するれば、税金に年金、社会保健料を免除と働いた時間の最低賃金を渡す感じで…… そうすれば、落ちこぼれでも将来に不安にならないし、失業者の受け皿にもなるだろう。何だかよく解らん建物を建て、地方に税金バラ撒くよりは…… 国民に使ってるだろう?」
「確かに…… 国的には労働力を得るし、不景気や不足の事態で増える失業者の補償になるなぁ」
「だいたいあの国は、選挙や政治に金を使い過ぎる。選挙活動なんて、みんな同じ額の予算で決まった場所のみでの演説にすれば良いんだ。国民全員が日中起きてると思うなよ! それに、国で予算が決められていれば、貧困層からも出馬する政治家が現れる可能がある。そしたら、政治の世界にも世間の金銭感覚とか…… 解る様になるだろう?」
「確かに…… 国民の感覚を知らないと、貧困が増える可能がある」
「つまり俺は……」
「俺は?」
「あの国の政治が嫌いだ……」
「解った…… 私の方で、上手い具合に話して措こう」
「お願いします」
男は、日本との交渉を大陸の大統領に丸投げした。




