前世では…… 持ってるだけで重罪のアイテムその3
「はあっはっはっはっはっ…… って、なんじゃこれは!?」
棺桶から出てきた少女が、化石化した世界樹を指差す。
「世界樹が…… おわりじゃ…… これでは…… われと勇者のいく千年の戦いは…… なんじゃったのだ……」
四つん這いに崩れ落ちた少女が地面を叩く…… 少女は全裸である。
「あ~、もしもし」
「なんじゃ、おまえは?」
「とりあえず…… これを着ろ」
男は、無限収納からローブを取り出して、少女に渡した。
「おお、すまぬのう…… ちっと、でか過ぎじゃなあ」
「お前が小さいんだ」
「なに、この〝魔王〟たるわれが小さいじゃと?…… な!? なんじゃこれは…… われのけんきゅうはしっぱいじゃったのか?」
「失敗? 何を失敗したんだ?」
「ふん、きゅうきょくの命に決まっておろうが」
「究極の命だ?」
「そうじゃ! われは、ありとあらゆるせいめいのとくせいをあわせて…… きゅうきょくといえるからだをつくったのじゃ♪」
「究極の身体ねぇ…… 角が生えた少女にしか見えんが?」
「くっ、うまくいったとおもったんじゃが…… おもいのほか〝どわーふやこびと、ようせいぞくのいんし〟がつよかったようじゃ…… うちけされなかったのは〝どらごんとてんしぞくのいんし〟じゃな」
「ドラゴンと天使族だと?」
「うむ、このとおりじゃ!」
少女の着たローブを突き破り、少女の背中に〝白い鳥の様な翼と黒いドラゴンの翼〟が現れた。
「うお! い、痛く無いのか?」
「うー? ちっと、むずかゆいかの?」
「それだけか?」
「うむ…… しりもむずかゆいの? にゃんじゃこりゃあ!?」
「尻尾? 黒猫の様だな…… 耳も生えてんぞ」
少女のローブを捲る様にして、黒猫の様な尻尾があらわれ、頭には同じ様な色合いの猫耳が生えた。
「うにゃあ~…… どうにゃら…… にゃだ、にゃらだがにゃんていしてにゃ~らしいにゃん」
「大丈夫か…… 言葉が猫よりになってんぞ?」
「だいじょうぶにゃん、それでにゃん…… おまえにゃだれにゃん?」
「そこからかよ…… あのなぁ……」
男は、これまでの事を少女に説明した。
「つまりにゃ…… あのときにゃ、われとさしちにゃえたのにゃ…… おまえにゃんか?」
「正確には、その転生者だな」
「うにゃ、ここにゃせかいじゅにゃかれたいせかいにゃん?」
「ああ、前世の俺達がいた世界とは違う世界…… 異世界に転生したと思うぞ」
「うぅぅぅ……」
「ど、どうした? どっか痛いのか!?」
「うにゃあぁぁぁ!! やったにゃ!〝せかいのしすてむ〟からかいほうにゃん♪」
魔王を名乗る少女が、泣き笑いながら小踊り仕出し、男は困惑するのだった。
魔王キメラホムンクルス(前世では、ホムンクルスの製造、販売、所持は、重罪です)が現れた!
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