妖刀になった邪竜王は、過去の行為が自殺行為だと知る。
『愚か者達め…… 例え、我が身が死のうとも…… 世界に魔力がある限り、我が魂は甦るのだ!』
禍々しい魔力を放ちながら、黒い妖刀になった邪竜王の声が鍛冶場に響く。
「にゃんにゃ? 邪竜王の気配がするにゃあ?」
『ぬ…… 魔王の力を感じる…… その山猫族の小娘からか』
「にゃん? 剣から邪竜王を感じるにゃあ!?」
『くっ、魔王の娘か? 甦ったばかりで奴と争うには得策でわない…… 一先ず、我が身を復活させるとしよう』
「あっ!?」
「刀が!」
「逃げたにゃあ!?」
邪竜王ダークネスカオスドラゴンの魂を宿した黒い妖刀が…… 空に消える。
「ヤバイ…… 早く探すぞ!」
あまりの事に唖然と見ていた鍛冶場いた者達が、蜘蛛の子を散らす様に動き出すが……
「マスター、皆様、落ち着いて下さい」
「コア?」
「この非常事態に落ち着けて!?」
「マスター、邪竜王の言葉を思い出して下さい。邪竜王は、こう言っていました……〝魔力がある限り、我が魂は甦る〟と」
「だからヤバイんだろうが?」
「マスター…… お忘れですか? この世界は、その魔力が無い世界だと言う事を」
「「「「「あっ……」」」」」
「ほっといても、あの魔力の放出…… すぐに魔力切れになりますよ」
ドカン!
『ぜぇ~はぁ~ぜぇ~はぁ~』
「ほら、戻って来ました」
鍛冶場の屋根を突き破って、黒い妖刀が地面に突き刺さったが…… 妖刀からは、苦しそうな呼吸音が響いていた。
「そう言えば…… 外は、上位の種族や魔物が住めない程に、魔力が枯渇した世界だったな」
『はぁ~…… この魔力の薄さは…… 世界は滅んだのか?』
「いいえ、世界は滅んでませんが…… 世界樹が滅びた為に、魔力が失われた世界です」
『な!?』
「そう言えば…… 勇者達は、にゃんで邪竜王を倒したにゃあ?」
「あっ、コイツはなぁ…… あっちの世界で、世界樹を焼こうとしたんだよ」
「にゃあ!? そんにゃ事したにゃあ……」
「ああ、世界から魔力が無くなるから…… 倒してくれって、竜族に頼まれたんだよ」
「同族に見棄てられたのですが?」
「いくら言っても、暴れて聞かないからだとよ。説得に言ったら良くて半殺しだから、手におえないって言ってたぞ」
「竜族からしたら…… 世界を滅ぼす自殺行為を同族がやらかそうとしてる訳ですからねぇ…… それは討伐されますね」
「邪竜王は、まだ若い竜だったからにゃ~…… 古龍達に反発したかったのにゃあ?」
「で、自分の望んだ世界はどうだ? 邪竜王様」
『・・・・・・』
過去の自分の行為が、世界を巻き込む自殺行為だと知った邪竜王の魔力は……
今にも消えそうな程に…… 小さくなっていた。




