男の一日…… その3
「にゃんで、にゃんたんに出来たにゃん!?」
「そりゃあ…… 元は、勇者パーティーの荷物持ちだったから?」
戦闘中等の緊急時に、無限収納から必要アイテムを瞬時に出すには…… 必要アイテム等の明確なイメージを必要する。
なので、男はこの手の訓練を前世で暇さえ在れば繰り返しては…… 習慣にしていて、生まれ変わった現世でも気付くと繰り返していた。
「霊力…… 魔力の練り込み、自分のイメージを写すなら……」
「にゃあ! ゆ…… 勇者!?」
男は、もう一人の自分にかつての仲間をイメージした…… そう…… 前世の世界での最強達の一人…… 勇者を……
「うん…… ダメだな。あいつの強さを感じないし…… 練り込んだ魔力から、一撃を放つ程度しか出来ねぇなぁ」
「勇者は、周囲の魔力で攻撃を強化するにゃあ…… こっちにゃと、ダンジョンにゃいでも一撃使ったにゃ…… 魔力不足で消えるにゃあ」
「どっちにしろ、枯渇状態の世界では使えないけどなぁ」
「規格外じゃな…… お主は」
「ちょっとだけ慣れてるだけだ」
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「さて、続きをやるか……」
魔王少女と天狗のじいさんと別れて、男はダンジョンの最深部の倉庫にいた。
「とは言え…… 魔王の領地での魔族やら魔物やらの武具や素材の整理は…… 一人じゃあ無理じゃね?」
無限収納から感じるアイテム数に…… 男はウンザリした。
「どうすぅかぁ~なぁ~…… そうだ! 俺を〝増やせば〟良いんじゃねぇ?」
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~ 数時間後…… ~
「「「「「終わらねぇ~……」」」」」
5人に増えた男は…… アイテムの山に埋もれていた。
「マスター…… 何をしているのですか?」
「いやぁ~」「ちょっと」「無限収納の」「整理をだなぁ」「しようかと……」
「先に言っていただければ…… 無限収納内のアイテムリストを作成しますか?」
「「「「「へっ……」」」」」
「お忘れですか? マスター、私はマスターと契約した事で、マスターの無限収納を一部使用可能になった事を…… それにより、無限収納内のアイテム情報を一覧する事が可能ですので、アイテムリストの作成が可能ですよ」
「な!?」「俺よりも」「コアの方が」「無限収納を」「使いこなしてる」
「「「「「だと~!!!」」」」」
自分のユニークスキルを、自分よりも使いこなすコアに…… 5人増えた男は崩れ落ちた。
その晩の事…… 衝撃の事実に疲れ果てた男は……
「にゃん? ど、どうしたにゃあ!?」
魔王少女の薄目な胸に顔を埋めて……
「ちょっと…… かたいなぁ……」
「にゃんにゃ! 喧嘩売っ「ヒック……」(濡れてるにゃあ…… 泣いてるにゃあ?)…… しゅうがないにゃあ~♪」
泣きながら眠りに就く男を、魔王少女は優しく抱き締めて、自分も眠りに就くのだった。




