世界樹の復活に…… 現代で目覚める者達。
(うん……? なつかしい…… なつかしいにおいが…… するの?)
「うん?」
「どうした?」
「今…… 御神体が動いた?」
「そんなバカな。気のせいだろ?」
「でも……」
「掃除も終わったし…… 早く戻らないと叱られるぞ!」
「ちょっ、ちょっと待てよ」
その日…… 人知れず、陰陽師の総本山から、一柱の御神体が消えた。
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「これは…… あたたかくて…… やさしい……」
とある山奥にある屋敷にて、一人の幼女が何かを感じとる。
「なんだろ? いっても…… いいのかな? もう…… 待つのもあきちゃったよ……」
山奥にあるのが不自然な立派な日本屋敷の縁側で…… 着物姿の幼女が寂し気に呟く。
「う~…… きめた! 待つのはやめ…… さがしにいく!」
そう言った幼女は、屋敷から出て行った数分後……
バキバキ…… ゴシャン!
立派な塵一つ無かった日本屋敷は…… 一気に崩れて朽ち果てたのだった。
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「「「おかえりなさいませ。ご主人さま♪」」」
山奥の異世界風メイドカフェには、不自然な常連達がいた。
「ああ、ただいま」
「おう! 帰ったぜ」
ちょっと鼻が長い時代劇の天下の副将軍の様なご老人と、大きめの帽子で頭を隠した筋肉ムキムキの青年に……
「ただいま……」
何時の間にか席に着いてる男性である。
「ご注文は?」
「何時もの和風定食を頼む」
「俺は、たっぷりの肉で」
「異世界メイドのオムライスで……」
「は~い♪ ダンジョン産和風定食と異世界マンガ肉のステーキ大と異世界メイドのオムライスですね♪」
注文の確認をしたメイドゴーレム娘が下がると……
「天狗の、また定食かよ。肉食え、肉!」
「うるさいのう。鬼よ、お主もたまには、肉以外の別の物を食べてはどうだ?」
「ふっ……」
「なんだよ…… ぬら、喧嘩売ってんのか?」
「メイドカフェで…… メイド系を頼まないのは…… 意味が無い……」
「定食は日替りで、おかずと汁が違うのじゃ。それで同じ値段、お得じゃろ?」
「ならば見ていろ…… いかにメイド系が良いものかを……」
言い争っていた3人に、獣人メイド達が料理を運ぶ。
「こちらがダンジョン産和風定食で…… 今日のは、ダンジョン産大根とお豆腐のお味噌汁と、イワナの塩焼きです」
「おお、立派なイワナじゃな!」
「こちらが、異世界マンガ肉のステーキ大です」
「これだよこれ! ここでしか食えん大きさだ!」
隠居のご老人の前に大きめのイワナの塩焼きの定食、ムキムキ青年の前には、骨が両脇から突き出たバスケットボール大の肉のステーキが置かれた。
「そして、こちらが異世界メイドのオムライスです。それではご主人さま、なんとお書きしますか?」
「ご主人さま、スキスキの後…… ハートマーク…… で」
「「!?」」
「はぁい♪ ご・主・人・さ・ま…… ス・キ・ス・キ・♥。おいしくな~れ♪」
このやり取りの後…… 常連の二人から、定番の注文に異世界メイドメニューの追加注文が入る様になった。
「これって…… 小判?」
常連3人の支払いは、金の小判だったので……
「これは…… とりあえず、無限収納に入れるか」
男は、3人の正体に触れない事にした。




