不法投棄は物だけでは無く…… 男は、地球でのファンタジーの生誕を見る!?
「みぃ……」
「どうすかぁなぁ……」
地上に、山小屋風建物の異世界風メイドカフェをオープンしてから少しして……
「このこを…… ヒック…… たすけ…… ヒック…… ごしゅじんさま……」
女性の娘が、今にも消えそうな小さな命を大事に抱いて、泣いていた。
「にゃあ! わにゃんにお任せにゃあ♪」
「ヒック…… まおうのおねえちゃん?」
「おい…… 待って、その箱は何だ?」
「他にもいっぱい居たにゃ♪」
魔王少女が抱えた箱には…… 弱りきって死にそうな動物の子供達が入っていた。
「助けるなら…… ちゃんと責任を持てよ?」
「にゃあ、任せるにゃ! 立派な魔王軍の兵士に育てるにゃん♪」
「魔王軍? まあ…… 躾はちゃんとしろよ」
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~ 数日後…… ~
「マジかぁ……」
「にゃあ! 次にゃ、行進の練習にゃあ♪」
男の目の前には…… 魔王少女の指揮で行進する幼児達が居た。
端から見ると、幼稚園の運動会の練習風景の様だが…… 幼児達の頭と尻には、人間には無い〝獣の耳と尾〟が生えていた。
「弱りきって居た獣の幼体を強化する為に、魔王ちゃまから〝獣人の因子〟を抽出し、ホムンクルスの製法を参考に獣の幼体と融合させました」
「さらと生体実験するな! こえ~! 魔王とコアが滅茶こえ~よ!!」
「因子は完璧に結合しました。なので、獣の幼体は完全に獣人の子供になりましたので、ご安心下さい」
「安心出来るか!」
「マスター、死者を甦生したマスターが今さら言いますか?」
「そう言えば…… そうか?」
「そうですよ。娘ちゃんも喜んでいるので問題無しです」
コアが、獣人幼児達と一緒に楽しげに行進している娘を指差す。
「はあ…… 解った。もういいが…… 絶対にダンジョンから出すなよ」
「了解しました。それとマスター」
「何だ?」
「世界樹の成長促進の為に、エルフが必要だと思われます」
「エルフか…… この世界に居ないよな?」
「エルフは、精霊が肉体を得たのが始まりされる種族ですから…… 魔力が枯渇したこの世界では絶滅したと思われます。なので、エルフの肉体を用意しました」
「えっ、はあ!? エルフの肉体?」
「はい、すでに肉体となる物はダンジョン付近から調達した物を基に生成済みですので、世界樹の世話を担当していた精霊ドリアドネを宿らせてよろしいでしょうか?」
「世界樹には必要なんだよなぁ?」
「はい、エルフが生誕するれば…… より世界樹の成長が促進するでしょう」
「…… 何か…… 間が気になったが…… はあ~、エルフを…… 誕生させるぞ!」
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男とダンジョンコアのゴーレム娘は、世界樹の根元で培養液の中に浮かぶ少女の前に来た。
培養液の中で浮かぶ少女の耳は…… 長く尖っていて、所謂エルフ耳その物の姿をしていた。
「マスター、この肉体が入っている中にマスターの体液を垂らして下さい」
「体液? 何で?」
「契約によって、肉体に精霊との繋がりを強化する為にです」
「体液って…… 唾液とかでも良いのか?」
「よりマスターの因子が濃いものが良いですね。なので、血かせい「洗浄……(チク)いっ……」……」
コアのゴーレム娘が言い終わる前に、男が洗浄魔法で消毒にした注射針を手に刺して、培養液に垂らす。
「…… 精霊契約を執行して、この肉体に精霊を授肉します」
「おっ!?」
培養液の中の少女を包む様にして現れた魔法陣が、眩い光を放ち消えると……
『ゴボ…… ゴボゴボ……』
「成功しました」
「おい…… 溺れてないか?」
培養液の中の少女は…… 苦しそうにもがいていた。




