資金稼ぎは…… 専門家(奴隷)に任せる事した。
「いや~人件費と場所代に材料費かからないって…… 最高ね♪」
ちょっと大きめな山小屋風の建物で、女性が笑う。
「16で始めたメイドカフェのバイトで、何時の間にやら最古参になって、支店長やるのに飲食店の資格取ったら…… 本店でのバイトテロ騒ぎで支店どころか、本店も潰れちゃって…… 自分で店出せないか店舗を捜してたのよ♪」
「店舗はダンジョンの機能で一瞬ですし、従業員は人体を模したゴーレムで完璧、食材も野菜系ならば、ダンジョンで簡単に栽培可能…… 肉や魚も、ダンジョン化した地上部での畜産と養殖で生産可能です」
「とうぶんは軽食とコーヒーとお茶で大丈夫でしょう。でも…… この店の名義、本当に私で良いの?」
男は、土地を手に入れる時に吸血鬼女王が魅了催眠した法律家を呼び、ちょっと大きめな山小屋風の建物とその周辺の土地の名義を女性に変更したのだった。
「いいぞ。こんな山奥だしなぁ…… 客も来ないだろうから、とうぶんは俺達の食事係って事で報酬の先払いだ」
「納税などについては、法律家の方から税理にお詳しい方を紹介していただきましょう」
「土地の所得税とか考えると、持ち家も自分の物って感じがしないよなぁ……」
「壊れたら修繕費は自分持ちだしね。そう考えると、管理や維持をしてくれるマンションやアパートの方が安いかもね」
「何事も、生きるにはお金が必要な世の中ですからね」
「俺の感覚(前世の)には馴染まない事だなぁ…… 手付かずの山奥とかに家を建てたら、そいつの物で良いじゃないか?」
「よく解らないけど、ゴミとか自然保護とかの問題なんじゃないの?」
「前世の感覚のせいか…… 俺には、この国が歪に感じるんだよな。自分で何が出来るか解らん金の無い奴らに簡単な仕事を回さずに、自分で探す様にと自主性に任せているし、重要な建物などを民間に作らせているが…… テロ対策や災害時の復興の為にも、国の建設部隊やら軍みたいな物が必要な気がするぞ」
「前の世界では、城や砦の建設や修繕費、災害時の復興などは、国軍や王族のお抱え職人の仕事でしたからね」
「俺の前世の知り合いでも、王様自身が魔法で城下の復興してたな…… 逆に自分達の報酬を下げずに増税ばかりして、国民に見捨てられた王族と国の重人達も居たけどな」
「まあ、それが自由って事なんじゃないの?」
「自由ねぇ…… スキルにあった生活をしていた感覚がある俺には、不自由に感じるなぁ…… 自分のやりたい事や出来る事を手探りで探すには、金の要る貧乏人には生き辛い世界だぜ…… まったく」
「この国の自殺率の高さは、その辺りが問題なのかも知れませんね」
「ある程度未来に展望があれば、人に理不尽な暴力も振るう事も無いだろうから…… イジメ問題も無くなるかも知れないな。どうしてもって時は…… 学校にサンドバッグを置いて、気が済むまで殴らせればいいんだ」
「それちょっと良いかも……」
「とまあ…… 話が脱線してしまったが、任せるから好きにしてくれ」
「了解しました。せっかくご主人さまが用意してくれたお店と従業員だもの…… 必ずや、利益を上げて見せますわ♪」
と、メイド姿になった女性は、目を煌めかせて意気込む。
「ところでマスター、どの娘がお好みですか?」
何時の間にか男を取り囲む様に、多種多様なメイドゴーレム娘達が立ち並んでいた。
「ノーコメント……」
「にゃあ!?」
男は、興味深げに山小屋風メイドカフェを見て回っていた魔王少女の首根っ子を掴むと…… メイドゴーレム娘達から逃げ出した。




