お金を稼ぐ為に…… ダンジョン付近の土地を(物々交換で)買おうと思う。
誤字脱字報告ありがとうございます。
「忍び込んでみたが…… 大丈夫なのか?」
「にゃあ? とりあえず、コアの指示に従うにゃ」
男と魔王少女は、真夜中の市役所に忍び込んでいた。
お金を稼ごうにも、現住所と連絡先が必要だと思った男は……
「ここの地主と直接、金貨や宝石類で物々交換出来ねぇかな?」
『では、市役所で土地の所有者を調べましょう』
と、言った訳で…… 真夜中に市役所に忍び込んで土地所有者を調べる事になった。
「え~っと、市役所のパソコンに……〝コイツ〟を近付ければ良いんだっけか?」
男は、無限収納から取り出したゴルフボールくらいの〝黒い玉〟を、市役所のパソコンに近付けると……
『これより、この国の国家データに浸入します』
「うお!? パソコンの中に消えた……?」
男が取り出した黒い玉は、市役所のパソコンに沈む様に消える。
「おわったにゃん?」
「指示には従った…… 帰るか?」
ダンジョンに転移した男と魔王少女は、女子中学生に頼まれて難解なパズルの様に絡まった吸血鬼女王の身体を、解きほぐしていたら……
『土地の所有者が判明しました』
ダンジョンコアが、国のデータベースから土地所有者の情報を見付けて……
『どうやら…… 不法投棄などの問題で行政と揉めている様ですね』
「俺が回収したが…… ひどい有り様だったからな」
『中には有意義な物も有りました。この様に』
「「「「!?」」」」
「にゃあ!? また、コアから人が出たにゃ!」
「今度も、魔王四天王の人ですか?」
「見覚えない顔じゃが…… 妾の配下してやっても良いぞ」
「『御断りですね。私には、既にマスターが居りますので』」
ダンジョンコアとダンジョンコアの中から出て来た少女が、同時に〝同じ声〟で〝同じ言葉〟を発した。
「コアの声が二重に…… コイツもコアなのか?」
「『マスター、流石です』」
「何が流石か解らんが…… 紛らわしいから喋るのは、片方にしてくれ」
「『了解しました』。この身体は、所謂〝ゴーレム〟です。マスターが回収した地上の投棄物の中に、数体の人体を型取る等身大の赤子から成人までのパペットがありましたので、それらを参考にして私の女性人型端末器を製作致しましたが…… マスター、どうですか?」
「パペットって…… 大人の人形の事か?」
「はい、私も死体かと思うほどの精巧な物が、エルフや獣人に天使や悪魔の姿を模した物などが複数御座いましたが…… マスターのお好みは、どれですか?」
「俺の好みを聞いてどうする気だ」
「とっても精巧な作りなので、マスターの夜のお供にいかがでしょうか?」
「にゃあ!? ダメにゃ! わにゃんのつがいなのにゃんだから、わにゃんが夜も一緒にゃあ!」
「ご主人様って…… マオちゃんみたいなのが好きなの? じゃあ、その内に私も……」
「このけだものめが! 妾を自由に出来ると思うなよ!」
「おいコラ! 話が脱線してる。ここの土地を買う話だろうが!」
後日…… 男は、スーツ姿の成人男性型人形のコアと日除けの魔導具を装着した吸血鬼女王を連れて、土地の所有者の元に行き話を付けて、その数日後に……
「こちら…… 全て本物の金ですね」
土地所有者の家で、金貨を潰した延べ棒を出張買い取り業者を呼んで貰って本物の金と証明後、名義変更などの為に一緒に呼んだ法律家に手続きをした。
「妾に感謝せよ」
全て順調だったのは…… コアの指示で吸血鬼女王が関係者を魅了して、催眠状態にしていたからだった。
「騙してないから、勘弁してくれな」
男は、ダンジョンが在る山一帯の土地と金を売ったお金30万円を手に入れた。




