そろそろ真面目にお金を稼ごうと思う。
「え~…… 中学生が買って来た牛丼と唐揚げと飲物について、重大なお話があります」
「「『?』」」
「これで、俺の現世の全財産が消えました。なので…… 現世の飯は、とうぶん食えません!」
「にゃあ!? いやにゃあ~!!!」
「文句は、中学生に言え!」
「え~! 私ですか!?」
「何で、くそたけぇ~エナジードリンクを…… 30本も買ってんだよ! 40の無職なめんなよ!」
「ご主人様って、ニートだったんですか!?」
『正確には、今はダンジョンマスターですね』
「うるせぇ! 前世のが換金出来るなら…… たぶん、世界一位の億万長者の10倍の資産は持ってる」
『正常に作動するならば、マスターの持つ魔導具や魔法薬など…… 国の権力者なら必ず手に入れたいでしょう。正常に作動するなら…… ですが』
「にゃあ? 動かないにゃあ?」
『ダンジョン内ならば、正常に作動しますが…… ダンジョンの外では、魔力不足で正常に作動しない可能性があります』
「それは怖いな…… 甦生薬が中途半端に作用して、アンデッドになったらヤバいしなぁ……」
「はいはい!」
「どうした中学生? トイレか?」
「違うし! 私、魔導具?で帰って来たはずだけど…… 大丈夫なの?」
『転移石は、ダンジョンで精製された魔石に刻まれた帰還魔法を1度だけ発動しますが、帰還魔法の魔力は魔石の魔力で補います。魔石もダンジョンに帰還ぐらいならば下級のクズ石で可能なので、損はありません』
「そうなの? な~んだぁ…… 私にも魔法が使えるのかと思ったのに……」
『あなたは、初級魔法ぐらいならば使えますよ?』
「「「!?」」」
「マジで?」
『はい、マスターとの奴隷印による魔法契約と治療のさいにダンジョンの魔力で、身体機能の回復をしたので…… 体内にマスターから魔力が流れているので、初級魔法ぐらいならば、使用が可能な魔力がありますね』
「やった! て事は、私も魔法少女だね♪」
「にゃ~ん♪ きゅらさたーんににゃかまがにゃん?」
『ダメですよ。魔王ちゃま、彼女に攻撃魔法はまだ早いです。先ずは焦らずに、生活魔法から練習させましょう』
「にゃあ? ダメにゃん?」
『はい、魔力不足で倒れるのが許されるのは、爆裂系魔法か殲滅系大魔法のみですので』
「にゃあ! わかったにゃん、次にゃ、きゅらえくすぷろーじょんを放つにゃあ♪」
「やめろ! ダンジョンが崩壊するだろうが! せめて、金貨と宝石類が換金出来ればなぁ……」
「出来ないのですか?」
「換金するには、本人確認などがあるからなぁ…… 下手に換金すると、密輸とかの疑いで捜査されるかもなぁ…… ただでさえ、児童誘拐の容疑がある状態だし……」
男は、中々帰ろうとしない女子中学生を半目で見ると、女子中学生は顔をそらしながら……
「そ、そう言えば! 吸血鬼さんは、どうするんですか?」
旗色が悪くなって、女子中学生が日に当たり、身体の半分が灰化した吸血鬼女王を話題にする。
「これ…… 大丈夫なんですか?」
身体の半分が灰化したままの吸血鬼女王を、女子中学生が心配そうに見た。
『吸血鬼は、心臓が無事ならば空間の魔力を吸収して復活しますよ。これでもアンデッド系では最強の分類ですので…… ご心配ならば、あなたの血を吸わせて見ては?』
「それは、イヤです!」
「吸血鬼なら、棺桶に入れて置けば早く復活するだろう? 魔王が入っていた棺桶に放り込むか?」
「にゃあ!? いやにゃあ~! 絶対にいやにゃあ~!!」
「わ~ったから、泣くな! コア、適当な棺桶を出してくれ」
『了解です』
ダンジョンコアが、人一人が入るくらいの蓋付きの桶を出した。
「これって…… 棺桶なんですか?」
「まだ土葬が一般的だった頃の日本の棺桶だな…… とりあえず、詰め込んどけ」
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~ 数日後…… ~
「うぎゃあ!?」
ひっくり返った棺桶から、難解なヨガのポーズをした様な吸血鬼女王が出てきた。
「あっ、復活した」
「身体がぁ…… 絡まって立てん…… 小娘、手を貸すのだ」
「これは…… 私一人じゃあ無理だね。ご主人様を待ちましょう」
「な、居らんのか!?」
その頃…… 男と魔王少女は、忍び姿で〝とある場所〟に忍び込んでいた。




