そろそろ地上の物(衣食など)が欲しいので、奴隷にお使いを頼む。
「お~い、中学生と吸血鬼。そろそろ前世の食い物に飽きて来たから、地上に出て買って来てくれ」
「え~! 私、家出中だから補導されるよ」
「丁度良いから、むしろ帰れ」
「いや! ここで、マオちゃんと遊んで暮らすの~♪」
「にゃあ!? 離すにゃあ!」
「下朗が! 妾に使いをさせるだと? 何様のつもりか!」
「今はお前のご主人様だ」
とりあえず反抗的な吸血鬼に、前世の魔導具から聖魔法を放つ男。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!?」
「まだ懲りないにゃん? こやつは…… でも、こやつに使いにゃ…… 出来るにゃ?」
「そう言えば…… 一応、女王だったし、買い物とかした事が無いか?」
「それもにゃんだが…… 外の魔力濃度で上級魔族が生きれるかにゃ?」
「あっ…… コア、外の魔力はどの程度になった?」
『前の世界の1万分の1程度の濃度です。今の地上に上級魔族が出ると…… 人間で言う酸欠で死に至ります。ですので、ここで止めを刺してダンジョンの素材にする事を、激しくオススメします』
「しれっと、妾を殺そうとするな!」
『どうせ、マスターのお使いも出来ない穀潰しなのですから、死んで下級魔族からやり直せば良いですよ』
「吸血鬼を素材にすると、アンデッドダンジョンになりそうだから却下で」
『仕方がありませんね…… 外での活動用に魔力不足を補う魔導具を開発します』
「う~…… 不当だ。妾は不当な扱いを受けている……」
「吸血鬼さんはいいけど……」
「なんじゃと!「うるさい! 黙れ」はう!?」
「マオちゃんは大丈夫なの?」
『魔王ちゃまは、体内に魔力を作る臓器があるので、地上では少しだけ飲食が増える事で、補う事が出来るはずです』
「じゃあ、マオちゃんと買い物出来るね♪」
「コア、はずですは不安だから…… 一応、魔王の分の魔力不足用魔導具も用意してくれ」
『了解しました』
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~ 数時間後…… ~
『とりあえず、吸血鬼の魔導具が完成しました』
「首輪型か…… 目立たないか?」
『魔力不足を補う為に、首輪に付けた魔石から魔力を体内に送る魔導具ですので、魔石を付けるスペースがある程度必要な為、幅広な首輪タイプにしました』
「頭のタトゥーと一緒だと…… そう言う人みたいに見えるよ…… そのタトゥーって、私にもあるんだよね?」
「お前のは、左足の裏だから目立たんぞ」
「そうなの? ご主人様ありがとう♪」
「やはり、妾は不当な扱いを受けている」
『マスターの命を狙ったので、妥当な扱いだと思います』
「じゃあ、とりあえずは…… 唐揚げと牛丼を頼むな」
『行きは、私が人里の近くの林に転送しますので、帰りは使い捨ての転移石をお使い下さい』
「何の話じゃ?」
「了解しました♪」
「あっ! 後、適当に飲物も頼むぞ」
「だから! 何の話をしておる!」
『では、転送します』
女子中学生奴隷と吸血鬼女王奴隷の姿が、ダンジョンから消える。
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~ さらに数時間後…… ~
「ただいま戻りました…… ゼェハァ…… ゼェハァ……」
「おかえりにゃあ!?」
「遅かったなぁ…… どうした?」
男と魔王少女が見たのは…… 疲れ果てた女子中学生奴隷と、その女子中学生に担がれた半分灰になった吸血鬼女王奴隷だった。
「この人…… ゼェハァ…… ダメです。日に当たったら倒れて、灰になり始めましたよ」
「あっ! そう言えば、吸血鬼って日に当たると灰になるんだったな」
『お使いも出来ないなんて…… ダメな奴隷ですね』
「ダメですね……」
「ダメダメにゃ……」
真祖の吸血鬼女王は、奴隷から使えない奴隷にランクダウンしました。




