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星と雪の輪舞《ロンド》  作者: アドミラル
王国編 第一章 伝承の御子
8/21

同年代

「理事長室……」


 ユキもこの奥の魔力を感じ取っているようだ。相当の実力者がここにいる。まあ王立学院のトップならそれなりの人物が控えているのは普通か


「失礼します」

「おぉリューカ。セイにユキもご苦労じゃったのぉ」

「あ?ジジイじゃねえか」


 土帝がいた。あの魔力の正体もこの爺さんだと思えば納得出来る。臨戦態勢を解き吹き上げていた魔力を抑える


「こら!エルデ卿か理事長とお呼びしなさい!」

「お前俺の姉ちゃんみたいな事言うな…」

「誰がお姉ちゃんよ」

「そのようだと仲良くできているようじゃな」

「どこがだよ。もっかいバトるくらいの勢いだぞ。というかジジイ。何で俺らが学校に入れられなきゃならないんだ。俺はもう魔法で学ぶことなんてないぞ」


 属性学から理論までエルフの国の本には全てが書かれているし姉ちゃん達がそれを全て教えてくれた。だいたいエルフをさらおうとする奴の殆どは身体目当てだったけど残りは知識とか魔法の力を得ようって輩もいたからな。それほどまでに魔法の見識が深いってことだ


「えぇ私たちは賢者と呼ばれるエルフから魔法を学んでいます。失礼ですが人間と比べると天と地ほどの差があるかと…」


「ぬはは確かにその通りじゃのお。だが…同じ歳の仲間は森にはおらんかったじゃろう。エルフは長命じゃから見た目は若くとも数百年は生きておる者ばかりじゃったはずじゃ。ここではお前たちに御子ではなく人間として生きてもらうために入れたんじゃよ」


「確かに婆ちゃんとかは一万年から数えるの辞めたって言ってたしな……」


 若いと言われていた姉ちゃんですら百歳は余裕で超えてたから同年代なんていないも同然だ。今リューカが千歳超えてるって言われても納得出来るくらいには見た目と年齢の齟齬が発生してる国だった。いや俺はそれが普通だと思っていた


「そうだね。お兄ちゃんと私以外の人間を学ぶ場ってことでいいのかな?」


「ぬはは。会話のスケールが大きすぎて70を超えたワシですらついていけんわ」


「エルデ卿。そろそろ次の場所へ連れていきますので失礼を」


「おぉリューカよ。苦労をかけてすまんなよろしく頼むぞ」


 理事長室を後にした俺達はまた長い廊下を歩いていた。帝って普段会えないとか特別な存在とかなんとか言ってたけどめちゃくちゃいるじゃん。畑のミミズくらいいてビビるわ



「ジジイがここの理事長だったとはな」


「あの方は教育担当だもの当然よ。卿はもちろんだけど王様もあなた達を学校へ入れることに賛同なさってたわ」


「あいつも?」


「何でもあなた達には未来の原石を磨く砥石となって欲しいんですって。私は学校ではあまり力を解放できないし卿もあの立場で相当忙しい。未来の帝や国を守る勇敢な騎士を育てるにはいい仮想敵だって仰ってたわ」


「あの野郎マジで殴る。顔の形を変えてやらねぇと気が済まない」

「笑いながらだったから半分は冗談だと思うわ」

「半分本気じゃねぇか。あの野郎昔俺が本気で殺しにかかった事未だに恨んでやがるな」


 数年前にあいつが来た時を少し思い出した。あの時はまだエルフ攫いが森で行われていた時代で俺がその度に人間を狩り回っていた時だ。あまりの怒りで殴りかかったのをまだ覚えてるって訳だ


「はぁ……はぁ……二人とも速いよ」

「悪ぃユキ。あまりにここ広すぎるからちょっと早歩きしてたつもりなんだが」

「お兄ちゃんの早歩きはダッシュだもん。着いてけないよ」

「じゃあもう繋いで歩こう。また置いてっちまったら悪いし」


 ユキの手を握りながらしばらく歩くとさっきまでの景色とは全く違う場所にたどり着いた。ここは食堂か?


「ここは食堂であの奥に競技場があるわ。主な施設はこんな所よ」

「うへぇ長ぇよ」

「確かに凄く大きなところなんだね」

「王国の未来を担う人材を育成する場所だもの。普通の魔法学校にはないカリキュラムもあるし、普通なら大量の献金か難関の試験を突破することでしか入れない学校よここは」


 一通りの説明が終わったのか。リューカが来た道を戻り始めた。歩いてて思ったけどこの国の建物やたら階段が多い気がするな。人が多い分高さを出さなければいけないからこんな造りになるのか。森とは違うなと考えているうち元の教室の場所まで降りてきた


 がらりと戸を開けると視線が刺さる。ちらちらと見られるが空いてる席に腰掛けた。ここに来るまでの雑談で決められた席がないことを聞いていたからだ


 暇だからユキと喋ろうと思ったその時三人組から声をかけられた。赤髪の男と青髪と緑髪の女二人。いや癖で敵を補足したみたいな感じになってるな。えーとお調子者っぽい男の子と大人しそうな女の子と活発そうな女の子って言った方が良さそうか


「よっおふたりさん。学院は楽しめそうか」

「あぁこうやってちらちら見られること以外は楽しめそうだ」

「そりゃ無理ってもんだぜ。帝はこの国の頂点に存在するスゲー偉い人だしな」

「あたしはむしろチャンスだと思うけどね。だってこんな近くで帝のことを見れるってないよ」


 いやあいついるじゃん。とちらりと見たらすごい顔で睨み返された。ここが闘技場だったら乱闘が始まってるところだ。学校でよかった


「んじゃさまず自己紹介タイムしよーぜ。俺はダミアン。火属性の魔法が得意で趣味はフットボールだ」


 さっき話しかけてくれたダミアンは暑苦しそうな外見をしている。体格がいいから組手の練習も出来そうだ。あっちにいた時はユキの作ったゴーレムが相手だったから何か違うと思ってたんだよな


「私はルル。水属性が使える。趣味は読書」

「あたしの名前はミュレン。風の魔法が得意で趣味は探検!将来は冒険家になりたいんだ。ルルとは小さい頃からの親友だよ」


 ミュレンはまあ普通の可愛い子って感じだがルルが一生本読んでる。マジでダミアンが話しかけた時からずっと読んでる。そろそろ辞めるかなと思ってたら全然辞めない


「いや俺は!?俺も一応小さい頃から知ってるよね?」

「ダミアンは知り合いでーす」

「何でだよ!」

「俺達の自己紹介いるか?属性も名前も知ってるだろ」


「逆に名前くらいしかしらねぇしいろいろ聞きてぇな。というか帝相手に敬語じゃなくていいのか?」

「ここじゃ帝じゃなくて一生徒だからな。堅苦しいのは無しがいい」


 それはさっきからリューカから言われた事だがダミアン達と話しているうちにその言葉が意外と深いことに気づいた。俺もユキもあいつも帝という肩書きを外せばただの人だと思い知らされる


「んじゃセイあらためてよろしくな」

「あぁちなみに趣味はトレーニングだ」


 握手で悲鳴をあげたダミアンを床にぽとりと落とすと今度はミュレンが質問をしてきた


「ところでリューカとはどういう関係なの?リューカは孤高の紫電姫として有名だから。なんか知ってそうだったし」


「いや知り合いに似てただけだった」

「ほうなるほどね。セイにはあんな美人な知り合いがいると」


 あいつが美人?いやあいつはグリズリーだよグリズリー。闘技場にクレーター作るのが趣味だろ


「じゃあ俺はユキに質問!白くてすべすべな肌に艶やかな白髪。長い睫毛と桃色の唇。ぶっちゃけ相手はいますか!」


「いませんよ?」

「じ、じゃあ好きなタイプは?」

「お兄ちゃんより強い人です」


「不可能だー!」

「ダミアンはモテない。世界普遍の定理」

「あまりに冷酷なツッコミすぎる」


「夜色の髪に星色の瞳。セイは伝承の御子なの?」


 起伏のない平坦な声だった。本を閉じたルルからそんなことを聞かれたので少し驚いてしまう。エルフは書物を見て知識を得るのが快楽みたいな所があるから神話を知っていても不思議じゃなかった。けど王国の人間となると少し話が違う。神がいることは知っていても神話を知らないなんてことはざらだからだ


「伝承をよく知ってるなルル」

「本好きだから」

「あれれー?ルルってば最初私が会った時は全然話してくれなかったしダミアンに関しては一ヶ月以上無視してたのにセイにだけはどうして?」


「分からない。私の口が勝手に開いた」


「むふふ。ルルもちゃんと女の子だったんだね」

「私は女の子。あってる」

「そこまでにしとけよミュレン。じゃないとセイに親友の座が取られちまうぜ」

「やだやだー!ルルに抱きつけるのは私だけだもん!」


「熱い」


 そんな会話を聞きながらリューカの方を見るとまた睨まれていた。もうなんなんだよお前は。俺のこと嫌いなのかよ

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