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星と雪の輪舞《ロンド》  作者: アドミラル
王国編 第一章 伝承の御子
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閑話 全帝の独白


虹彩異色症(ヘテロクロミア)に親の持つ属性とは異なる属性を持っていたこと。それだけで気味悪がられるのは当然だった。だから私は捨てられた。そう聞いたのは孤児院で大人たちの話を盗み聞きした時だった。言葉にならない絶望や怒りに身体中が震え枯れた声が“あぁぁ”と漏れるまま魔力を解き放つと私は精霊の衣を纏っていた。齢七歳で王級の力を得たのだ。そして帝となった。心にヒビを抱えたままに。


全帝となった私には帝としての箔が必要だった。まず仮面をつけローブを被ることで大衆から姿形を隠した。これで中身が少女だったとしても舐められない。次に実績をあげる。盗賊団を締め上げ魔物の群れを討伐し最強と言われていた鋼帝にも勝利した。“不動の要塞”と言われていた人を超え私は王国で最強になった



でも私にとって最強とは孤独だった。私の持つ五属性は特殊な属性相手じゃない限り確実に有利をとることが出来る。水は火に、火は風に、風は土に、土は雷に、雷は水に。それぞれ有効に働くのだから基本属性相手ならまず負けない。ごく稀に光属性を持つ教会の信奉者(ニンゲン)が挑んできたが属性を二つも使えば相手にならなかった。五を持つ一(わたし)は並び立つものがないものになってしまった


寂しい。孤独がこんなにも寂しいなんて思わなかった。自ら選んだ抑止力としての君臨は一定の効果を見せたけどその代償は私に全て科せられた。誰も私と話してはくれない。誰も私と並んでくれない。誰も私と遊んでくれない。誰も…誰も…誰も私と友達になってくれない


全帝の仮面を脱ぎ私は学院に通うことにした。後見に土帝と光帝が入ってくれたからだ。ものすごく心が踊った。どんな人がいるのだろう。瞳を輝かせ入学した時、また絶望が私を襲った。話している内容があまりに違いすぎたからだ。初級魔法(ボール)が撃てるようになったとか中級魔法の詠唱を覚えるのが大変だとか“あまりに低いレベル”にどうしていいか分からなくなってしまった。つまらない。喋れない。それだけだった。これならまだ帝たちの中で上級魔法を撃ち合っているほうが遥かに楽しい。どうしてこうなってしまったのだろうと考えても仕方ないと思った。結局孤独になってしまったは変わらない事実だったのだから



ここに通ったはいいが無為に講義を受け時間を浪費し続けるのに意味はあるのかと思った。そんな初等部時代を終えて中等部に上がる頃には力の抜き方を覚えた。とてつもなく手を抜いても尚高いレベルの雷魔法と無口なことから孤高の紫電姫と呼ばれるようになった。もうここまで来ると日々の業務をこなし学院では手を抜きながら生きる毎日に慣れてしまう。どこにいても私は笑っていない。学院の人(クラスメイト)からクールだと言われているけど、面白くないから笑っていないだけで本来の私は冷たい人間じゃない。そもそも本来の私って…?


地位を磐石にし、宮廷を総括するまでになった中等部時代はあまり思い出したくはないものだ。この頃には寝るふりや用事がありそうなふりまで覚えてしまった。人との喋り方なんて本には載っていないし、人と距離をとる(すべ)だけが私に身についていく。どんどん私から人が離れていく。全帝という強大な力とリューカという孤高の姫はどちらも寂しい存在になってしまっていたのだ


高等部に上がったつかの間。あいつが来た。私をイラつかせるあいつが。星の御子。輝かしいまでの力を見せたエルフ国最強の男。私がここまで苦戦し本気を出させられたのは初めてだった。でも今思い返せばその時私は笑っていた。感情を出していた。対等の人間と会話をした気がした。心底腹が立つしふざけた男だけど私と同じ目線で喋ってくれる同年代の子なんてこれが初めてだったのだ


だからこそ超えたくなった。今までは私が頂点にいるのは当たり前でそこからの景色に飽き飽きしていたのが一人の男によって塗り替えられたのだ。誰よりも探究心があり挑戦者だったあいつに今度こそ正面からぶつかり打ち倒したい。私は全帝。王国最強の帝……だった者。必ずその座に返り咲く


この日私は初めて努力をした

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