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星と雪の輪舞《ロンド》  作者: アドミラル
王国編 第一章 伝承の御子
14/21

キヨウの依頼

 今日は神話関連の情報集めにギルドへ行ったのだが、そこで問題が発生した。前が詰まっているのだ。なにか揉めているらしい


「だから何度も言ってるだろ。俺達はこの依頼を受けるつもりは無い。舐めてやがるのか?」

「そこを何とかお願いします」


 メガネ受付嬢のキヨウが必死になって頭を下げていた。その相手は三人の男。話を聞くに彼らはAランクの冒険者で、この街を拠点に活動しているベテラン冒険者達らしい。キヨウが必死にお願いしている内容は草原の調査。最近その辺りに居ないはずの魔獣が増えてきているからその原因を突き止めて欲しいというものだった。


 だが、その依頼を受けた冒険者の数は0人。理由は簡単で冒険者はこんな安価では動かないからだ。 しかし、それでも諦めきれないのかキヨウは何度も頭を下げる。さすがに見てられないと思い声をかけた


「キヨウ。そこまで焦るほどの依頼かそれは?」

「せ、星帝……様」

「星帝だと?」


 キヨウにやたらと食ってかかっていた男一人が俺を睨みつけるように見てくる。他の二人も似たような反応をしていた。そして周りの視線も集まってくる


「星帝は城の闘技場に大穴を開けた剛力の男と聞いていたが少年じゃないか」


 見下すような乾いた笑いに眉頭がぴくりと動いたが前にギルドマスターから聞いていたここには腕っぷししに自信があるやつが集まるとの話を思い出し控えた。まあ帝なんて肩書きはここでは重要ではなく武が支配しているのだろう。いつもなら腹に一発入れているところだが前に全帝からあまり暴れるなと釘を刺されたので浮き上がった血管を何とか沈める


 しかしこうも活きがいいとはな。依頼からくる金や素材の買取なんかで潤っているとは思ったが予想以上にこの組織はでかく見える。纏まりがないからなんとも言えないがもし一丸となればそれこそ軍にもなるだろう


「よし受けよう。ただ依頼のことを詳しく聞きたいから奥に通してくれるか?」


「本当ですか!?ありがとうございます!」


 キヨウは腰を折り曲げ礼を言ってくる。そして俺は一瞬だけ魔力を全開放しそれを全て前の三人に浴びせてやる。獰猛な獣がチラリと牙を見せるような簡単な威嚇だ。あれだけ喚いていた三人も大人しくなりギルドを後にした。キヨウは首をかしげていたが直ぐに案内してくれ奥の部屋へ行くことにした。部屋に入りソファに座ってもらい話を聞く。思ったよりややこしい依頼のようだ


「依頼料が安いのは討伐や調査というより探索に近いからだな。それに少しの調査が加わっているという感じか」


 依頼の場所は所謂雑魚と呼ばれる魔獣しかおらずこんな端金を貰ってまでわざわざ行かないイスタ草原。確かに嫌だと言っていた理由がわかった。駆け出しの人間が行くような場所に行かずともAランクの冒険者ならばもっと稼げる所に行けるからだろう。でも未知の調査なだけに新参の冒険者に任せる訳にはいかないわけだ



 噂によれば火山にしかいないはずの火鼠(ファイアマウス)や雪山にしかいない氷猛牛(フリーザーバイソン)まで目撃されたらしいからな。それらをもし見つけて狩りさえすれば儲けは出るだろうが逆に出なければ大損かつ骨折り損だ


「依頼料はむしろいらないからむしろギルドマスターに神話の調査進んでるか聞いてくれるだけで俺としては充分な報酬なんだけど」


「そんな!それは出来ませんよ!力を借りるにしても軽すぎます!あの……私に出来ることなら何でもしますから」


「分かった一旦保留にしよう」


「ほ、本当にいいんですか?」


大きく目を見開いたキヨウの肩に手を置いた。依頼が漠然とした内容だから万事任せろとまでは言えないがまあ何とかするくらいの意気ではある



「ああ。キヨウが望むなら何でもする。その代わりと言ってはなんだが」

「分かり…ました。私にできることであれば何なりと申し付けてください」

「そうか。じゃあまずはその服を脱いでくれ。下着姿が一番やりやすいんだ」

「えっ……はいぃ!?︎」

「ほら早くしろ」

「うぅ〜〜」

 顔を真っ赤にしながらゆっくりと脱ぎ始める……


「…ウ…ヨウ……キヨウ!」


「は、はい!」

「俺もう出るけど後はもういいか?」

「あっ…え、はい!大丈夫です」


 やけに顔が赤いが熱でもあるのか。体調管理ぐらいしっかりしてくれ。あいつらと喋ってる時もこんな感じでふらふらだったのか?



 やたらとしどろもどろになっていたキヨウに少し心配の目を向けながらギルドを出た。目指すはイスタ草原だがここからならすぐに着くだろう。街を出てから全速力で向かう。ユキと食べる夕食には間に合いたいからな


 ……

 …



 大地をかけ木々の隙間を飛び越えるとその光景が目の前に拡がった。イスタ草原だ。腰ほどまである草が時折鈴のような音を響かせ、それを撫でる爽やかな風が吹き流れていく。遮るものがない陽が俺の身体を照りつけるがそれも心地いい。辺りを見渡せば一角ラビットやスライムジェルなどの魔獣がいるがキヨウの言っていたいるはずのない魔獣というのは見当たらない。冒険者にも不人気なのか草原を見渡す限り俺一人だ



 あれほど啖呵をきった手前成果なしで戻るのは出来ないなと思いながら歩いていると目の前に一角ラビットがあらわれた。たたかうとしたいところだが、仮に倒して皮を剥いで売ったとしても銅貨1枚2枚にしかならない。仕方ないとさっきギルドでやったように威嚇で逃がしてやった



 そこでおれは閃いた。この辺りの雑魚が一斉に逃げる程度の威嚇を全体に飛ばせばここにいないはずの魔獣なら残るんじゃないか?。天才的な思考だ。頭脳担当のユキがいなくてもこんな発想ができるなんてな。これからはエルフ国の頭脳担当を名乗れるかもしれない



 イメージ的には俺を中心として円形に威嚇する感じだ。目をつぶり魔力を練り上げていく。魔力を解放してやる威嚇だとどうしても範囲が狭くなるから火や音や光などの分かりやすいやつでいくか。よし今回は音でいこう。両手をあげネビュラボムを空砲みたいに打ち上げると空気が痺れるような音が辺りに響き渡る


 パニックを起こしている魔獣は平原から逃げようと四方八方に散り出した。さて、ここからだ


「見つけやすいでかい魔獣でもいれば早いが……」


 これで雑魚散らしは済んだから後は草原にわけいって探すしかないだろう。草原は広すぎて全部回るだけでも時間がかかるからな。手っ取り早く終わらせたい


 その時、後方から何か大きなものがこちらに向かってくる気配を感じた。この感じは明らかに雑魚とは違う。しかも速いぞもうこちらに届く

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