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星と雪の輪舞《ロンド》  作者: アドミラル
王国編 第一章 伝承の御子
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街の散策 2

 外に出て少し歩き街の散策をする。人通りの多い道を行きながらさっき買った果物を齧る。しかし今日は何だか人が多いな。通りの道だって広いのにこうもごった返すことはないだろ


「帰ってきたぞ!騎士団の凱旋だ!」


 そんな声が聞こえてきた。色めき立つ声の中この国の紋章が入った鎧を着た騎士たちが馬に乗り行進しているのが見える。しかし先頭を歩く鎧の騎士は相当な手練だな。周りの騎士もそれなりだがあいつだけは別格に見える。隙がないと言えばいいのか。とにかくあの空間だけ空気が張りつめているように見えるのだ



 目が合った。兜の奥の瞳に俺が捉えられている。しかしすぐに目を逸らされ連中は王宮へと進んでいった。しばらくするとユキが俺の袖を引っ張ってくる。どうしたのかと思い振り向くとぷくっと頬を膨らませていた。思考を戦闘に切り替えて戦略を練っていたら数分経っていたらしい。この癖は相変わらず治らないな…


「怒ってるのか?ユキ」


「怒ってないよ」


 ユキはそっぽを向いてしまった。こうなると本当の雪のように冷たくなる。前に約束を忘れてすっぽかした時は数日口を聞いてくれなかったからな…


「悪かったって。次は気をつけるから機嫌直してくれ」


 そう言いながら頭をぽんぽんと撫でるとユキの顔はそっぽを向きながらも頬張ったリスの状態からは元に戻ってくれたようだ。


「お兄ちゃん。腕が冷たいな」


「はいはい」


 そう返事をしながら今度は腕を組んで歩いていく。今回はこれで許してくれるみたいだ。冷たいと言っていた割にはユキの身体は少し熱く感じたけど


「ねえお兄ちゃん。あの塔に行ってみない?」


 あれは確か教会の鐘堂だったか。鐘つき場の下に街を展望できるスペースがあるとは聞いていたがそれ宙を走ればいいだろと思って行かなかった所だ。こんな機会だし確かに行ってみてもいいかもしれない



 ユキの早足に着いていくようにその場所まで向かった。長い階段を登り景色が見えようかとその時つんのめったようにユキの足が止まった。そのまま俺の方を見つめてくる。その目は何かを訴えかけているようだ


「デートですか。ここは神に鐘の音を捧げる神聖な場所ですよ」


「こ、光帝」


 危うくババアと言いかけたが何とか堪えた。教会のローブに身を包みウェーブがかった金色の髪を揺らしている。確かここの大司教やってるって言ってたしここに居ても不思議じゃない。


「と言ってもここがそのような場所にされているのは存じています。神はよほどみだらな行為では無い限り愛を育むことは許してくださるでしょう」


 何を言っているんだ?淫ら?愛を育む?普通に出掛けてるだけなのに訳が分からない。よなと言おうとユキの方を見ると白い肌が少し赤くなっていた。階段で息でもあがったのか


「星の御子。雪の御子。貴方たちは人です。ここに暮らす人々と同じ人間です。ただ少し強い力を持って生まれた人なのです。願わくばそのまま普通の幸せを享受して生きられますよう祈っています」


 それだけ言うと踵を返し去って行った。意味深なことを言いやがって。しかしあいつが言った言葉には不思議な重みがあった。まるで俺たちの結末を知っているかのような言動に少し違和感を覚えながらも俺たちは改めてに景色を眺める。そしてその光景を見て息を飲んだ。それは俺が見たこともないような美しい景色だった。



 レンガと石畳によって造られた街は陽によって光り輝いていてその街並みに溶け込むかのように教会や商会などの建造物が並び立っている。それらが綺麗に合わさることで一つの作品のようになっていた。空を仰ぐ。そこには雲一つ無い空が広がっていた。俺はまたひとつ世界の広さを知ったのだ



「綺麗……」


 隣にいるユキもその景色に見惚れているようだ。この笑顔だけでここに来て良かったと思える


「ここの暮らしがどれくらいになるかは分からないけどさ。この景色をまた見に来よう」


「うん。お兄ちゃんと2人でまたここに来たいな」


 そんな約束を交わしながら俺達は来た道を戻っていった。ユキの表情から見るにリフレッシュは出来たらしい。よかったと胸を撫で下ろしながら寮に戻ることにした。

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