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星と雪の輪舞《ロンド》  作者: アドミラル
王国編 第一章 伝承の御子
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街の散策

  学院にも窓から入る朝日にも馴染んできた朝。そんな生活への慣れからか休みで少し起きるのが遅くなってしまった。ふとそういえばユキと街へ出ようと考えていたのを思い出した。城下町は見たことの無いものばかりで森育ちの俺たちには新鮮だったから探索してみたかったのだ。だが俺もユキも知らないことだらけ。案内役の1人でも連れていくべきか?



「ユキ、街へ出ようと思ってるんだけど2人で大丈夫と思うか?」


 そう俺は声をかける。兄妹だからと特例で相部屋を与えられた俺たちは森での生活と同じように暮らしている。直訴したのはユキらしいけど多分ホームシック的なあれで寂しかったんだろうな



「うん。お兄ちゃんと2人なら大丈夫」


 寂しがり屋の妹のお墨付きもいただいたので準備をして行くとするか。制服で出ようと考えたが目立ちすぎると思い俺は冒険者用のロングコートを羽織った。ユキもシンプルなワンピースに着替えて準備が出来たようだ。



 寮を出るとそこにはルルがいた。相変わらず本を読みながら行動してはいるが外にいるのは少し驚いた。何か用事でもあるんだろうか? ルルはこちらを見つけるなりすすすっと近寄ってきた。その行動が森の小動物みたいで可愛らしく見えてしまった。そしてそのままくっ付いてきた。これは予想外だ……。俺星の引力発動させてた?そんなに吸い込まれることないだろ


「お出かけ?」


「あぁユキと街を歩こうと思って」


 背が小さいルルが見上げる形になり見下げている俺と目が合った


「私も」


「私たちは帝として行くんです。ごめんなさいルル」


「そう。それは邪魔できない」


 あっさり引き下がってくれた。まぁルルって本以外に頓着なさそうだしな。小さな手を振るルルに俺達も手を振りながら街へ歩き出す。ユキはどこか嬉しそうな顔をしながら歩いている。ユキにはいつも苦労をかけたりしてるから偶にはこうして労ってやらないとな。中心街に入るとそこは別世界が広がっていた。森の集落とは規模が違う。人も物も多い。活気のある声が飛び交っている


「すごい。人だらけで酔っちゃいそう」


「あぁ、これだけ人が居れば迷うかもしれないな……」


「お兄ちゃんはぐれたら困るから手を繋ごう?」

 そう言ってユキの小さな手が差し出される。小さいけど温かい手を握るとじんわりとして少し安心する。まずどこへ行くべきなんだとユキの手を引きながら考える。しかし初めて見るものが多すぎてどこに行けばいいのか分からない。とりあえず目についた店に入ってみるしかないか?と思った矢先に後ろから声を掛けられた。


「上ばっかり見上げて歩いてるってことは新顔だろあんたら。まずはこの街の中心ギルドに行きな。分からないことがあるならそこで全て聞けるぜ」


 やけに親切だなと思った。会ったことのない人間に少し困惑したが言われた通りに中心にある大きな建物に向かう。数分歩いて着いたその場所に入ると思ったより広く綺麗で少し驚いてしまった。受付と書かれた場所へ行くとそこに眼鏡の人がいたので早速色々と聞いてみるとここがどこかとか何があるかなど基本的なことから全て教えてくれた。ちなみに名前はキヨウと言うらしい。ここは国で一番大きいギルドであり様々な任務やクエストを受けられるということ。また、素材やアイテムをギルドが買い取ることも可能だということも教えてくれた


「そうだ!初めてここに来たのなら魔力の測定をしてみますか?」


「測定?」


「属性と量を調べる水晶があるんです。色が属性で濃度が量を表します。一般的には水晶の向こうの景色が見えないくらいの濃さが一流の証と言われていますね」


 なるほどそんなものは森にはなかったな。ユキの方を見ると興味津々といった様子だ。けど測ることよりもこの水晶がどういうものなのか気になるんだろうな


「人目のつかない場所ならやるけどそれでいいか?」


少し怪しいと思ったのか一瞬言葉に詰まったがすぐ笑顔に戻り案内された


「ええ構いません。奥の部屋へどうぞ」


 そうして俺たちは部屋に入った。中はとても簡素な作りになっており本当に測定だけしか出来ないような感じだった。机の上に置いてある水晶の上に手を置くと水晶は下の方色が変わっていき、しばらくすると夜色に染まり星の輝きを放った。


「嘘…見たことの無い属性。それになんて魔力量なの。こんなの帝クラスでしか見たことが…見た…ことが」


 ユキが手を置いた真っ白な水晶ともう一度俺たちの姿を確認してから受付の人は物凄い速度で出ていってしまった 。俺達は取り残されたままその場で立ち尽くしていた。しばらくして戻ってきたキヨウは息を整えながら矢継ぎ早に話す


「ギ、ギルドマスターがお呼びです」


 そのまま連れられて二階の応接室のようなところに連れてこられた。ソファに座っているのはいかにも偉そうな男だった。しかしそれは貴族のような地位から来るものではなく実力が伴っているタイプのやつだ。


「星帝と雪帝だな」


「あぁ」


「何しに来た」


「寄っただけだ。街を少し回ろうと思ってな」


 そう答えると目の前の男は大きなため息をつく。そして何かを諦めたようにこう言った。


「帝が遊びで寄るとこじゃねぇぞ」


 男は頭をかきむしると立ち上がり部屋の隅にあった剣を手に取った 。その瞬間それを投擲する。仕方ないと頭の中で呟きながらその剣を軽く掴み取り机に突き立てた。中心から割れていきガタンという音が部屋に鳴り響く。俺の前には男が驚愕した表情をしていた。ユキが放ったランスが相手の喉元数センチ前で止まっていたからだ。


「試すような真似をして悪かった。謝るからこれを収めてくれないか」


 ユキは静かに怒っていたその瞳を閉じると雪の槍を霧散させた。無詠唱かつ反応も悪くなかった。我が妹ながら最高の反応だったな


「改めてすまなかったな。ギルドにくる奴らは荒くれ者や腕っぷししか取り柄のない輩が多いんだ。その簡単な対話方法があれだ」


「ユキは知らんが俺は気にしてない。しかも俺はちょうどここに来て良かったと思ってるんだ」


 握手を交わし自己紹介をした。男は名前をゴードンと言い、ここのギルドマスターを十数年やっているらしい。年齢は50を超えていると言っていたが見た目はかなり若く見える。筋肉隆々で身長も高く威圧感が相当あるな


「さっきの話。どういうことだ」


「政治には土帝と全帝が、教会には光帝がついてるのにここにはバックがついてない。つまり…」


「それらがなくとも運営できる。相当な力があるということです」


 俺が次に言う言葉が分かったのかユキに遮られたがそういう事だ。通常何をするにもまず力がいる。後ろにある力によって人は前にも後ろにも動けるのだ。虎の威を借る狐は龍の前だって横切るだろう


「しかも王国の中心ギルドってことは情報も集まる。俺たちはある事を調べていてその情報を集めてるんだ」


「何の情報が聞いていいか?あまりにヤバい情報じゃ噛むだけで厄介だからな」


「神話ですよ。私たちは神話を調べているんです」


「考古学ってやつか。さっきの詫びでまあその筋に詳しそうなやつに当たってはみるが期待はするなよ。所詮は金を稼ぐために集まった無法者たちだからな」


「ああ。それでも構わない。何かわかったら教えてほしい」


 そう言って席を立つと受付まで送ってくれた。受付ではさっき逃げるように出ていったキヨウが座っておりやや硬い笑顔で挨拶してくれた

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