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第三話の三 新しい友達

 能力の性能を試すためにいくつかテストをして、条件選択を間違えなければほぼ確実に未来を予測できることが判明した。そのため取り敢えず一体討伐したという事でコガレオンの依頼はリタイアすることにした。


「……次の討伐に参加したら全滅か、危なかった」

「強さには自信があるけど、私も死ぬだなんてね。本当かしら?」

「疑うんなら行ってもいいぞ」

「不本意だけどブタ君を信じるわ」


 何だかんだで俺達の住む共同宿舎に泊まったリラは朝の食事を取っていた。昨日の晩、改めておおよそ起こることを調べたところ討伐に参加した人はほぼ全滅するとの預言になった。それはリラも例外ではなかった。さらに町の外に出ると高確率で死ぬようなので泊まってもらうことにしたのであった。


「……で? 今日は何をするの? 討伐は受けないのでしょ?」

「ああ。だけどお金は稼ぎたいから日雇いに行こうかなって」

「そう? なら私のいつもやっている仕事を手伝わない?」

「……町の外には出ないぞ」

「もちろん」


 やけに自信たっぷりなリラに俺は一体何をやるのかと不安を感じた。そして同時に仲間になるの拒否したはずなのにやけに好意的だなとも思った。

 すると共同宿舎の外にある水飲み場で顔を洗っていたニニエが走って戻ってきた。


「ちょっとこのブタ野郎! 僕のパンツ洗ったわね!」

「嫌なら部屋の中に投げ捨てておくなよ」

「乙女の下着に触れるだなんて重罪だ!」

「そんなきたねえパンツ洗ってやったんだから感謝しろ! お前だって洗うの嫌だから放置してたんだろうが!」

「うッ!? それは……」


 図星だったようでニニエは黙り込んだ。全くもって女子力の欠片もない奴である。


「あと元女神、今日はリラの仕事に付き合うからお前も来いよ」

「元女神はやめて! って、そのクソ女と仕事するの!?」

「クソ女って……、何があったんだよ」

「こいつ僕の服が臭いからって窓の外に放り投げやがったのよ!」

「それはお前が悪いだろ。このずぼら女」


 あれだけ洗っとけよと言ったのにまるで手も付けていなかったようである。リラは知らん顔をしていた。


「というかクソ女、あなた仲間になる気ないのよね? だったら帰りなさいよ!」

「わ、私は確かに仲間になる気はないが、外に出ると危ないからな。今日は町で穏便に過ごそうかと……」


 かなりご立腹なニニエに妙弱気なリラであったが、とあることに気が付いてすぐに強気な視線に戻った。


「……ところでニニエさん、あなたもしかして男の人?」

「あ? それはどういう意味かしら? 僕っこだから? 言っておくけど一人称はキャラづけの為よ」

「いや、随分と立派なまな板だと思いまして……、そのお胸」

「……あなたに言われたくないわ! あなた身長的に考えて私と同じくらいでしょう? そうよね?」


 徐々に自信が無くなってきたニニエに勝ち誇った顔をしたリラは彼女を引き連れて外に出て行った。そしてすぐに帰ってくるとニニエは死んだ魚のような目になっていた。


「ど、どうして? 身長的にまだ子供なはず……。なのに……」

「ど、どうでしたか!? 某にお教えくださいませ!」

「デカい」

「ふおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」


 その一言で全てが伝わった俺は感動に似た気持ちを感じていた。ロリっぽい見た目で巨乳、最強以外の何物でもなかった。


「まあ気にすることない。まな板にも需要はあるさ」

「二か月前ならボインボインだったのにいいいいいいいいいッ!」

「デブなだけなんだよな……」


 悲しいかな元女神。体型にはとことん恵まれていないようであった。勝ち誇ったリラのフォローも彼女にとっては空しいだけであった。


「そういえばスズキ、あなたって夢は自分の家を持つことなのよね?」

「うん。俺はここに永住する!」

「止めといた方がいいわ。四人の大悪魔が侵攻して来れば更地になる」

「……そう言えば四人の大悪魔についてまるで知らないな。おい元女神、お前知識だけはあるんだから役に立て」

「……簡単に説明すれば四人の侵略者だ。今世界ではこの勢力との戦いに劣勢で、シド共和国も土のアネモネと交戦状態に一部ある状態なの」

「え? もしかして俺が平穏に暮らすためには何とかしないといけない感じ?」


 せっかく日本から離れて誰にもいじめられない平穏な生活を手に入れられると思ったのに、今度は精神的でなく物理的な脅威にさらされるとは本当に運のないと思った。


「無理無理無理! コガレオンにすらぼろくそな俺に何かできるわけがない!」

「まあそうね。でもそうだとしたらマイホームは一旦諦めた方がいい。建てたら次に日には消し炭になっている、なんてことがあるかもね」

「ちょっと確かめてみるわ」


 能力で家を建てた場合の事を調べてみた。しかし、結果は出なかった。意外と結果が出ないという事もあったので驚きはしないが、モヤモヤとはした。そこで条件を変えて調べてみたところ、この街は襲われることが判明した。


「……うん、しばらくはお金だけ溜めて見送ろう」


 出てきた答えにヒヤッとした俺は家の建築を一時先延ばしにすることに決めた。するとなぜかもじもじしたリラが俺に問題の書かれた紙を渡してきた。


「勘違いしないこと。私は神様に改めて聞くだけなんだから」


 紙に書かれた内容はリラが俺達の仲間になるべきかどうかであった。やっぱり内心は仲間になりたいのかなと思いつつ調べてみると、仲間になるべきではないと回答が出てきた。


「はあ!? ふざけんじゃないわよ! 何かの間違え、もう一回だけ調べてみて!」


 言われるがままにもう一回。しかし結果変わらず。

 その事実に衝撃を受けたリラは魂が抜けたような顔でぼんやりとしていた。そしてここぞとばかりに元女神は悪趣味にも煽り始めた。


「ハッハッハッ! 神様分かってる。こんなクソ女と仲間だなんてありえな~い」

「仲間か……。なら友達に変えてみたらどうなるかな?」


 もしかしたら仲間と言う書き方が悪かったのかもしれないと思って友達に変更。すると結果はなるべきである、であった。

 その事実に死んだ顔のリラに精気が戻った。


「ふっふっふっ! やっぱり私たちは神によってえらばれた運命共同体みたいね! 仕方がないから、神様がそこまで言うなら友達になってあげましょう!」

「結局仲間になりたかったのかよ! 素直に言えよ!」

「ファック! ふざけんじゃないわよクソ女!」


 これが俗に言うツンデレと言う奴かとリラを見たが、これは悪い例だとすぐに俺は感じた。これはめんどくさいなと思いつつ、その事実に納得のいかないニニエをなだめることにした。


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