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第四話の二 リラの事情②

 憲兵駐屯所で許可をもらった俺達は早速リラとの面会を果たした。しかしリラはまるで一言もしゃべることなく、ただ黙り込んでいた。


「お前何やったんだよ。人は殺しちゃだめだぞ!」

「……」

「違うわよ。こいつきっとお腹空いて屋台の飯つまみ食いしたのよ」

「……」

「お前じゃないんだしあり得ないだろ。お前じゃないんだし」

「なんですって!? 私はそんな意地汚いことしないわよ!」

「キャラ崩壊してるぞ」


 留置所に事情を聞きに来たはずなのに俺達はいつも通りコントを始めてしまった。するとうつむきがちなリラはぽつりとつぶやいた。


「もう、私に関わるな。あの事は忘れろ」

「なに? もしかして悪いことしたから気に病んでる系? 言っておくけど黒歴史の数ではお前は最下位だからな」

「キモオタクソデブいじめられっ子引きこもりごく潰しの不登校元高校生のスズキ君が言うと説得力あるわ」

「女神でありながら天界を追放されたブタさんほどではないっすよ」

「おういい度胸だ表出ろ」


 ニニエが切れ気味に俺の胸ぐらを掴んできた。俺は流石に力では勝てないので小馬鹿にするような視線で元女神に対抗した。

 しかし、こんなバカ騒ぎにもリラは無反応であった。流石に俺もニニエも何かあったのだと悟って暴れまわるのを止めた。


「……何が、あった?」

「関係ない。私はお前たちを友達とはもう思っていない」

「ならせめて理由を話してくれ」

「……」


 平行線だった。これ以上は話を聞くことは出来ないだろうと思い、俺は息を吐いた。


「仕方がない。帰るぞ元女神、戦闘娘」

「? 戦闘娘とは私の事か? 私は拘束されているから……」

「金払ってもう保釈してもらえるようにしたよ。これで貯金がパーだ」

「クソ女帰ったら馬車馬のように働けよ」


 俺達の話にまるで意味が分からないと言った表情を浮かべたリラは慌てて口を開いた。


「ま、待て! なぜ私のために金を払った! お前には家を建てるという夢が……」

「金はまた貯める。以上!」


 俺はそれだけ言い残して面会室を出た。そして外で待つこと五分、憲兵に連れられたリラが姿を現した。


「……お前たちがこいつの仲間か?」

「おう」


 俺がそう言うと憲兵は明るさまに嫌そうな顔をしてリラを突き飛ばした。


「失せろ。犯罪者どもめ、二度と姿を現すなよ」


 憲兵はそう言って留置所に入って行った。俺は呆気にとられ、ニニエは痰を飛ばしていた。するとリラは暗い表情で俺達を見つめると薄く笑った。


「お前たちもうまともな生活できないぞ。この町の住民から蔑まれ、迫害される。私と関わったためにな」

「なぜだ。理由が分からない。何があったんだ?」


 俺が彼女に理由を尋ねると、リラは少し考え込んだ後事情を話し始めた。


「コガレオン討伐隊の全滅は知っているな?」

「おう」

「それを行ったのが、土のアネモネと言う話らしい」

「それがどうしたっていのか僕にはピンと来ないけど」


 四人の大悪魔の一人、土のアネモネはリラと同じエーデ族と言う話だというのは聞いた。しかしそれでも彼女とアネモネは全くもって関係ないはずだった。明らかな冤罪だと俺は思った。

 しかし、リラは次の瞬間驚愕の事実を口にした。


「アネモネは、私の母よ」

「「……え?」」


 俺とニニエの声が重なった。反応がシンクロするほどに驚愕の事実であったからだ。


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