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ぼっちは勇者を目指さない。  作者: タネモリ チコ
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第六話

精霊界を出た私だが、未だ人と出会ってない現実に頭を抱えている。

確かに精霊界は人族の住むとある大陸の奥地の大森林の先に位置している。

一時期見晴らしが良くなった時もあったが、今は普通に木々が大量に生えている。

そんな場所なので普通の人は近くまで来ない。不便なうえに精霊と距離を保っているからだ。

だから人里どころか人が居たような様子もないから、道なき道を私はひたすら歩いている。

周囲にいる精霊たちに聞いても人は見てないという答えなので仕方ない。

異世界に召喚された後、すぐに精霊界に行ったから街すら見たことが無い。

精霊王たちに話を聞いたり、精霊界にあった文献で調べることは調べたんだが。

うん、種族の違いって距離にも出るんだね。


森の中じゃなかったら走ってもいいんだけれどね。

派手に動くと折角戻したのにと精霊たちが嘆くので。

普通に走るだけなんだけれど、どうも認識にずれがあるみたいだ。

おかげでゆっくり歩いている。

ただ、歩くにしては速度がおかしいという声が精霊から聞こえてきたが、気のせいだろう。


何とか森を抜けた。草原で人が歩いたような道はない。

何時になったら人に会えるのだろうか。

精霊王たちが一緒だったら寂しくないのかもしれないが、用事があって後から来るようで。

それ以前に人の前に精霊王たちが現れたら反応どうなるんだろう。

そもそも認識できるのかな?気になる所。


やっと人がいた。

いや、これまでにも居たことは居たんだよ。

うん。土の精霊術とか色々やった結果の4tトラック的な荷台の檻の中で十数人程わめいてるけど。

この場合話が通じそうな人って意味なんだけれど。檻の中に居るのは会話が通じなかった人。

仕方ないよね。いきなり金目の物を出せとか言われたし。持ってそうにないの見て判らないのかなあ?

殺さずに下着以外は身包み剥いで檻の中に入れたのって優しさだよね。

あ、でも話の通じそうな人襲われてる。ちょっと行ってくる。


この世界って野盗とか流行ってるのかな。

そんな訳でもなく多分魔族軍とかの侵攻で社会が不安定になってるとかそれ系な雰囲気だけど。

というわけで本日二組目の会話が通じない人たちを身包み剥いで檻の中に押し込んだ。

ちなみにやり方は服は風の精霊術で切り飛ばします。水だと威力ありすぎて殺しかねないので。

武器についても同じく刃の部分を飛ばします。これは剣を使って。

精霊界で鍛錬された特殊な金属で精霊術に影響が出ない特別製ってよく切れるのね。

普通の金属だと火の精霊王が扱えないから、新しい金属作っちゃったんだ。

時間感覚とか時間軸が違うせいか精霊たちの努力ってずれてるんだよ。

そのお蔭で魔族たちと戦えるんだけど。

途中で化け物とか魔物とか言われたけれど失礼だよね。

助けた人たちも目を丸くしてる。4tトラック的な物が珍しい?こっちの世界にはなさそうだもんね。

野盗を運ぶにはどうしたらいいかでゴーレム的な物を作ったんだけれど。

イメージ的にトラックの様なものが一番作りやすかったので。

他に同じような物が出ないことを祈りたいが、これに反応する人がいれば逆に注意をしないと。

私が探している人の可能性があるからだ。

それよりも助けた人に話しかけないと・・・えーと、何を話したらいいのかな。

「助けて下さってありがとうございました。」

その前に助けた人の中でそれなりの身なりをした中年男性が頭を下げていた。

男性の後ろにあった馬車・・・襲撃によって壊されて馬も逃げ出しているがそれなりに豪華だ。

それなりにというのは一見普通の地味な馬車に見えるが、よくよく見ると良い材質が使われている。

精霊界で目利きみたいなことを訓練でやらされてたときもあったからな。

本当に精霊王たちおかしい。役に立ってるけれど。

「リンド・ロームと申します。森の奥での修行も終わり、街に行こうとしてたのですが。」

私は檻の中の話しの通じなかった人たちを見て息を吐いた。

「今は国が魔族軍の侵攻に疲弊している状態ですからね。ところで森の奥と言うと精霊使いの方かな?」

「はい。森に入って長いので、どうしても外の世界の事と離れてしまいがちで。」

「どうやらそのようだね。私の名前はジェームス。妻子と共に街に戻る所だ。」

「街って普通に入れるんですか?檻の中身もどうにかしたいところなのですが。」

「街まで護衛して頂ければ、問題なく中に入れるように手配しよう。」

「お願いします・・・と言いたいところですが、少々お待ち頂けますか?」

折角なので馬車を土の精霊にお願いしてゴーレム馬車に改造してみた。ジェームスの馬車壊れてたし。

流石に車の形にはしなかったよ。そこの辺は自重した。

石像の馬がいなないて、生きてるかのように動いてるだって?そりゃあ、馬車なんだから馬いないと。

「これなら大丈夫ですね。何かあれば対応しますので宜しくお願いします。」

私はトラック的なゴーレムの運転台の上に乗ると、大体の方角を確認した。

敢えて屋根の上に乗ったのは警戒のためだ。何しろ治安があまり宜しくない。

街が普通だったら良いなと思ったのは別の話だ。


街は至って普通の大きさの辺境の街と言った感じだった。

大都会・・・ではないと思う。多分。

ジェームスのお蔭で街には無事入れた。

子ども扱いされたが、成人年齢は15歳で私の年齢は12歳。ちょっとまずいな。

どうにかしないと。

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