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ぼっちは勇者を目指さない。  作者: タネモリ チコ
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第五話

異世界に召喚されて命を狙われていたので精霊界で鍛えていた私。

で、魔族の軍隊たちに囲まれる時には自分の身を守れるくらいにはなってた。

私が剣を振るうと魔族たちが吹っ飛んでいったからね。

うん、ちゃんと身を守れてる。

「たった一日で一体何がどうなってるんだ。」

「1年時差があったから仕方ないね。」

私は無数の魔族を切り払っていく。そしてそのまま邪神となったかつての級友に向かって走る。

これでも自分の身を守るのが精一杯。

私は光の精霊の力を借りて、槍状にしたものを放って邪神の体をぶち抜く。

本来ならば胴体に大きな穴が出来た時点で全部終わる。寧ろ手足飛んでないのが不思議な位の穴だ。

だが、邪神の体はみるみるうちに再生し、私は距離を取る。

そう、私の力では倒せないのだ。

普通の魔族たちであれば急所を狙うとか、色々方法はあるのだけれど倒すことはできる。

ただ、邪神相手に自分の身を守るのが精一杯というのは、私に神を倒す手立てがないという事なのだ。

確かに魔族を倒すほどの一撃を与えれば回復の為に力を削ぐことは可能だ。

辺り一面を焦土に帰す様な精霊術を使えばそれこそ数日は邪神の動きを止めることも可能だ。

とはいえ、もって数日だ。数日もすれば邪神は肉体を復活させてしまう。

何しろ精霊界には神を倒せるような方法も道具も無かったのだ。

だからこそ私は精霊神や精霊王たちと相談し、作戦を立てた。

私は邪神に対して攻撃を仕掛け、その度に邪神は体を再生させる。

「残念だったな。その力では私を倒すことはできない。」

ひたすら攻撃を仕掛ける私と再生を繰り返す邪神。

だがそれこそが私の狙い。私がやってるのはただの・・・時間稼ぎだ。

「神殺しが出来なくても別に構わない。神一人で戦争できる程、万能であれば私を殺しには来ない。」

次の瞬間、邪神の体が揺らいで、そのまま膝をつく。

「さあ、問題だ。私を殺すのとそちらの軍勢が壊滅するのとどちらが早いでしょうか?」

「はっ、ははっ。自分を囮にしたな。」

「やっぱり魔族が倒されると、消えなくても弱るようだな。」

私は神に対して想定していたことを確認して、なおも邪神に攻撃を仕掛ける。

そもそも攻撃を仕掛け続けているのも、相手が攻撃する隙を与えない為の事だ。

殺せない神相手に下手な持久戦などしたら命が幾つあっても足りない。

幾ら精霊界を巻き込まなかったと言っても、精霊王や精霊たちも命としては有限だ。

それに私がここで邪神や魔族たちの相手をしている。

そうなると精霊王や精霊たちは一体何をしているのか。それは邪神が弱っていることに繋がる。

「さあ、適当な所で引いてもらうよ。そちらの軍勢は精霊たちに抑えられてるだろうからさ。」


そう、私が囮になっている間、精霊王と精霊たちには他の魔族軍の撃退を任せていた。

何しろ魔族軍は多数だが、精霊王と精霊たちが集団で掛かればなんとかなるのは判っていたからだ。

正直精霊王たちの強さがおかしいのだが。精霊界の外だから攻撃抑えてないし。

制限掛けなければ精霊界が吹っ飛ぶ技を幾つか教えてもらった時点で既に判っていたのだが。

大体私を人外にするぐらいに鍛えられる存在が、それ以上の強さを持たないと誰が思う?

実際に目に出来るような爆発が多数の方向で見えていたら察するだろう。

邪神が目でわかる位弱ってる時点で相手が悪かったな、残念だったなと慰めたくなるくらいだ。

「私は死ぬつもりはないし、目指してる所があるからね。これ以上は思い通りにはさせないよ。」

「敵討ちとか言わない時点で色々と疑うが、確かに戦えないな。」

邪神の言葉に魔族たちが悲鳴を上げるが、邪神が体を維持できてない時点で最早結果は見えていた。

「精霊界と人族両方と戦争してる時点で無理があったんだ。暫くは反省してるんだな。」

邪神が、魔族軍が姿を消す。撤退していったのだ。


こうして、精霊界対魔族軍の戦争は精霊界側の勝利で幕を閉じた。

が、これは私にとっては始まりに過ぎない。

「魔族たちがあまり動けない今のうちに神を殺せる存在か方法を探してきます。」

『私はこの場を離れることはできないが、精霊王たちを付けることにしよう。』

「大丈夫なんですか?」

『奴らの狙いはリンドさんだ。それに今の魔族たちがここに攻め込むだけの力はない。』

「わかりました。精霊王たちを連れて旅に出ます。」

『貴方の願いが叶う日を楽しみにしています。』

今の私には邪神を倒せない。私には神を殺す能力も手立ても無いからだ。

だからと言ってこのままの状態が続けば、何時かは命を失うような事態になるかもしれない。


こうして私は人族の世界に旅に出る。

正直、6体の精霊王は爆弾を抱えてるような感じがしないでもないんだが。

それでもこの異世界で何とか生きていくために、私は足掻き続ける。

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