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子鬼、かぶりつく

 ハンバーガー。


 ファストフードの代名詞とも呼べるのではないだろうか。

 そして、代表的なジャンクフードとしても有名だ。

 かぶりつくうまさ。味から栄養が偏ってるのがわかるくらいジャンク。

 動物性タンパク質の旨み、食感と潤いをくれるおまけ程度の生野菜。

 塩味ちょっとキツめの手の止まらない付け合せ。

 乾く喉を潤す弾ける炭酸飲料。


 食べ終われば、ただ食ったという満足感。

 指先と唇は油まみれ。



 はっ!

 やばい。

 鑑定してなかった・・・

 もやもやした気分で寝ましたよ!

 なんかイメージと違うぞエルフの大森林!



 朝目が覚めたら、衛兵さんがまたお盆を持ってきた。

 内容は同じ。

 朝からはキツイっすよ・・・

 とりあえず鑑定しますか。


 名称・・・・・エルヴンバーガーセット

 種別・・・・・食物

 状態・・・・・良好

 価値50G


 説明

 とある転生者が伝えたエルフの国民食。

 速く、安く、片手で食べられるため、研究に没頭しがちなエルフに好まれて定着した。

 肉と野菜をパンで挟んだハンバーガーと、ゲルミーという植物の根を揚げたポテト、風の魔法を込めた水を果汁で割ったタンサンの基本にして王道のセット。

 過去にこればかり食べて病になり、死んだエルフがいるため、1日に1食までしかハンバーガーを食べてはいけない『バーガー法』が大森林では定めらている。



 おおう。

 転生者なにやってんの。

 そんでもって、食い過ぎて死ぬとかジャンクの度合いは世界が変わっても同じか。

 そんなドキュメンタリー映画があった気がする。

 とあるチェーン店のメニューだけ食べて生活し、最後にはドクターストップがかかったはずだ。

 というか、エルフさんェ・・・

 太ったエルフとかエルフじゃないだろ。


「ククルス・アーヴィング。君は大森林の民ではないが、そのハンバーガーは1日1食までしか食べられない法律がある。法を犯した所で罰則はないが、食べ過ぎると身体に悪い。今日はそれ以上ハンバーガーを食べないように。それと、それを食べたらここを出ていいぞ。我らの同胞の態度も悪かったが、街中で危ない魔法は使わないようにな。ハンバーガーの金は滞在中に詰所に支払いに来るように。ここを出るときに請求書を持たせる。では、私は向こうで君の手続きをして来る。戻ってくるまでに食べ終わっていなさい」

「は、はい」


 心なしか、衛兵さんがふとましく見えるのは目の錯覚でしょうか。

 いや、筋肉だよね。そうだよね。


 昨日の感動は何処へ行ってしまったのか。

 朝食べるハンバーガーは、胃に重くのしかかった。

 お肉は『マルフト』というエルフが家畜化した生き物の肉のようだ。

 味わいは牛肉に近い。何というか、すこし乳臭い。

 炭酸飲料は風魔法を使って作るようだけど、転生者はそんなに飲みたかったのかな。

 解らないでもないけれども。

 今飲んでいる炭酸飲料に混ぜてあるのはなんと『世界樹の実』の果汁らしい。

 味は酸味はほどほどに、甘味が強い。喉が乾くという程ではないが甘い。

 香りは後味にすこし甘い香りが残る程度で、これだという例えが見つからないな。

 某ゲームなら死んでも復活出来そうな代物だけど、大森林だとポピュラーな果実だと鑑定では出ている。


 ゲップをひとつしたところで、衛兵さんが呼びに来た。

 荷物は宿屋にあるので、着の身着のまま外に出ると、朝日を遮って黒いローブ着た壮年のエルフと、昨日の騎士様三人組が待ち構えていた。

 黒いローブを着たエルフは昨日は見なかった顔だ。上司かな?

 騎士様から口を開く。


「昨夜は大変失礼した。強引であったのは認めよう」

「こちらも魔法を放ってしまい申し訳ございませんでした」

「よい。お互い様ということで水にながそうではないか」

「はい。ではそのように」

「では、わが主よりの伝言を伝える。世界樹の上層にて用件を伝える。滞在中に必ず1度来るようにとの事だ。ここから見える世界樹の根本の宮殿にゆけば案内がつく」

「どのような用件なのでしょうか?」

「私は内容を知らされていない。済まないが1度足を運んでくれ」

「わかりました」

「頼むぞ。では」


 騎士様達は世界樹の方へ去っていった。

 黒いローブのエルフを睨む。


「で? おっさんはなんかようですか?」


 昨日の元凶の仲間っぽいおっさんに嫌味ったらしく言い放つ。

 ボサボサの髪をしているのに、無駄に整った顔が腹立たしい。


「ウチの研究員が迷惑をかけたようで・・・」

「いやぁ、本当に迷惑でしたよ」

「申し訳ない・・・」

「まぁ、事情は衛兵さんに聞きました。研究員の方たちは罰を受けるようですし、俺としてはそれでいいです。では」

「お待ちください!」

「なんです?」

「白夜様! 白夜様のお知恵をお借りしたい!!」


 はぁ。

 めんどくさい。すごくめんどくさい。

 胸の紋章に魔力を注いで、ヨトゥンに呼びかける。

 返答すらせずにぬるりと胸から半透明のペンギンが出てくる。

 ペタんと地面に降り立ったヨトゥン。いや、実体ないから音はなかったけど。

 珍しく俺から魔力を貰わずに魔法陣を地面に描き、モリモリと身体を作っていく。

 無言で。

 あれ? 作る体大きくないでないですか? ヨトゥンさーん?



直近の話の修正は後日。

今回の話に出てきた生き物や果物の詳細はもう少し先に。



ククルス「ジャイアントヨトゥン! パンチだ!!」

ヨトゥン「ウオオオオオン!!」

リモコンで動くロボット、最近みないな。

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