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子鬼、森を目指す。

改行少なめにしてみました。

改行について活動報告にアンケートを用意したので、出来たらコメントして頂けると嬉しいです。

携帯表示だとやっぱり改行少ないほうが読み易いですかね。

  さて、エルフの大森林へ出発である。

  御者台に俺とじいちゃん。他は室内で寛いでいるようだ。

  エルバ家からはミラーさんが来た。交易用に持ってきたグラスボード五個をいかに高く売るかうんうん唸って考えているようだった。


  一度草原中央部へ抜けて西へ向かう。道はじいちゃんが知っているとのこと。

  道中なにか新しい食材はないかたまに鑑定しながら、じいちゃんと会話している。


「じいちゃん、この位の速度だと何日位でエルフの大森林に着くの?」

「そうだね。森に着くのに三日、森に着いてから世界樹まで二日くらいだね」

「うえぇ、草原の中心から森まで三日か。ん? でも、エルフとドワーフが迷う位広い訳じゃ無さそうだけど」

「ああ、始祖様たちの時代はもっと広かったんだよ。森が広がり、山が隆起して今の広さになったんだ。昔僕も同じような疑問を持ってね、精霊の大森林やドワーフ連峰へ行って古い文献をあさったものさ。ドワーフ連峰はあんまりなかったけどね」

「へぇ。ん? そう言えば『エルフの大森林』と『精霊の大森林』って結局どっちが正しいの?」

「どっちでも通じるからどっちも正しいけど、エルフ達は精霊の大森林と呼ぶから僕はなるべく精霊の方で言うようにしてるよ。僕らは契約させて貰うだけだから解りにくいけど、召喚の魔法は凄く複雑で大変なんだって。だから、精霊召喚っていう先人の残した技術に誇りを持っているから精霊の大森林って言ってるんだと思うよ」


「へぇ。他になんか特徴ある?」

「そうだね。大概のエルフは学ぶ事を至上命題としてるね。大昔のエルフは長命故に年を取ると感情が希薄になっていったらしいんだ。有り余る時間に精神がやられないように多様な暇つぶしをしたようだよ。その結果、解き明かし尽くす事の出来ないこの世の中を解き明かす学問に種族の大半が傾倒していったみたいだね」

「大森林のイメージが崩れそうだなぁ」

「ククルスも森の中を見たらビックリするよ。あそこは奥に行くほど常識が通用しなくなるんだ。きっとミラーも今頃どう売るか悩んでるさ、なにせ相手はエルフだからね」

「うわぁ。うっ、日が結構傾いてきて眩しいな。じいちゃん、そろそろ野営かな?」

「そうだね。もう少し先に行くと小川があるから、その辺にしようか」

「了解〜」


  しばらく進むと本当に小川があった。大型グラスボードを停めて野営の準備だ。

  火を起こし、テントを張る。寝るときは大型グラスボードの中だけだと流石に六人は狭い。大型グラスボードにはじいちゃんとミラーさんとエイミーで寝てもらい、俺とドヴァンとセシリーでテントで交代で寝る感じだ。

  今回は持ってきた食材も保存性の高い旅を意識した物ばかりだ。鞄に『時間停止』は組み込まれてるけど、いつ何があるかわかんないしね。



  さて、今回は鬼ヶ島で買ったサラウという、鱈に似た魚の塩漬け干しを使ってチャーハンを作ろうと思う。勿論のこと、米もアルファ米を作りまして持ってきました。

  アルファ米は、普通に美味しく炊いたご飯を温風で乾燥させて、乾燥した後にバラバラにほぐして密封容器(俺の場合は薄い革袋)に移した物でございます。

  お湯をアルファ米の重さの1.6~1.8倍くらいの量で注ぐと、炊きたてには敵わないけれど、美味しいご飯が出来上がる優れもの。時間はかかるけどね。


  という訳で、クッキング!! イェア!! サラウを水に浸して塩抜き。塩が抜けたら水から煮て出汁を取ります。取った熱々の出汁をアルファ米にかけて戻し、サラウ自体は細かく裂いて水分をよく拭き取ります。残った出汁はスープにするためにカオイモを剥いて入れました。


  水分を取ったサラウを塩とペパの実で味付けし、獣油とサラサ油を混ぜた油で軽く炒めて皿に戻します。クラミア草(ニンニク風味)とネギみたいな香草を刻んで炒めて皿に戻します。米が出来たら、これも少し水分を取って、火力を高めにして、鍋にイン!!


  塩コショウで味を整えたら、振り混ぜながら、サラウ、香草達の順で加えて炒め、最後に少し塩を振って完成!! ホントは醤油があれば、最後に焦がすように鍋の周りから少し垂らしたんだけどなぁ。魚と醤油の相性はかなりいいし。後、卵だな。草原も鬼ヶ島も卵食べる習慣がない。大森林にないかなぁ。

  さぁーて、実食でございます!


「うん。店が出せるねぇ。ククルス君の所にウチの孫を修行に出そうかね」

「うん。油っぽいけど、止まらないね。僕が若かったらおかわりしてたね」

「お兄ちゃんすごい! お魚のチャーハンはじめてたべた!」

「このお米は家じゃ育たないかなぁ〜?」

「ククルス、おかわり」


  上からミラーさん、じいちゃん、エイミー、ドヴァン、セシリーである。

  うーん。パラパラのご飯に食欲を誘うクラミア草の香り。噛むと解けるサラウからは魚特有の香りと旨みが噛むほどに出てくる。ネギのような香草が食感のアクセントになって概ね美味い。口にかき込もう。ヨトゥンにも好評だ。




  さて、夜の警戒はセシリー、ドヴァン、俺である。俺は今日ずっとグラスボードを運転してたので、先に寝させてもらって朝方起きる。明日の運転はセシリーだ。大丈夫かな?


  ゆさゆさと体を揺さぶられて起きる。ドヴァンはもう結構眠そうだ。


「交代だよククルス。今まで特に獣や魔獣は出てないけど、結構前になにか遠吠えが聞こえたから気をつけてね。それじゃあおやすみ」

「うーい。おやすみ」


  鞄から緑色の干し草を出して目の荒い布に入れる。これは草原でよく飲まれる「若葉茶」の元だ。カップに布袋を入れて鍋に沸かしたお湯を注ぐ。ふぅふぅと息をかけてゆっくり啜ると、熱さと渋みで目が覚める。魔法陣を形成しては崩して、他の魔法陣に作り替えたりして練習していると、ガサガサと音が聞こえてくる。

  音のする方へ魔力の波を放ち、腰を浮かせて臨戦体勢を取る。俺の警戒が伝わったのか、ヨトゥンも姿を変えて音のする方角へ向けて睨む。


  ガサリと音を立てて出てきたのは一人の女の子と鉄色のタコのような物だった。


「あー、人だー」

「マスター、警戒させてしまっているようです。まずは自己紹介する事と、敵意がない事を告げるべきだと判断します」

「そーだねー。あたしはシーマ・アーヴィングだよー」

「個体番号t-862、群体ナノマシン統括機『クルエルサンチ』でございます。敵意は有りませんので、警戒をといてくださると有難いのですが」

「は?」

「ククルス殿、お爺様が言っておられたお婆様ではございませんか?」

「いや、なんで冷静なのヨトゥンさん」

「おー? 孫かー?」

「どうやらマスターの目的が達成されたようですね」

「ヨトゥンさんや、じいちゃんを起こして来てくれませんかね」

「わかりました」

「とりあえず座ってください。話を聞きましょう」


  ホントにばあちゃんなのか? しかし、色々と聞き逃せない単語が出てきた気がする。じいちゃんも眠そうに目を擦って出てきた。


「シーマ? シーマ!?」

「あー、ジーンただいまー」

「どうしたんだい? 手紙を送ってから随分たったから、きっと手紙が他の物に紛れて気づいてないものだと思ってたんだけど」

「見てからすぐに孤島を出たんだけどー、あたし方向音痴だからー」

「マスターを送ろうと私が運んだのですが、外に出たのは幾万年ぶりでして、大陸の配置も変わっておりましたので、かなりの時間がかかりました。申し訳ありません」

「くーちゃんはー悪くないよー」

「はぁ、とにかくお帰りシーマ。心配してたんだよ? みんなが起きてから紹介するよ」


  いやいやいや、じいちゃんそれでいいの!?

  あからさまにオカシイの居るでしょ!?


  それにしても何故我が家の老人たちは突然現れるのだろうか。なにかイケメン神の笑い声が一瞬聞こえた気がする。爆発しろ。あの名状しがたきタコのような物を見たらエイミーは泣き出すのではないだろうか。今もウネウネとうねりながら、ふよふよと何故か浮いている。駄目だ、理解が追いつかない。






昨日だけでPVが7万超えで思考が止まってます。

ランキングの力恐ろしい。


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