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初めての首切り……なんだが

ユニークもPVもブックマークも増えて嬉しい限り。

「ギル、貴方いったいどういうつもり?ククルス君は腕の骨が曲がってしまっているし、ドヴァン君に至ってはあんたの遠慮の欠片もない攻撃を凌いだせいで体無茶苦茶よ!? あのヨトゥンってゆう精霊と私が居なかったら一生身体に何かしらの不利を抱えるところだわ! 子供の骨は柔らかいのよ!! それを、ミルディンやキースに教えるような内容で訓練したらこうなるのは当たり前でしょう!! おじいちゃん失格よ、失格! おまけに人様の子の方が重傷って何よ! 四歳児に倒れるまで剣を振らすな!! 大体あんた四歳の時そんな訓練してた訳!? やってたとしてもあんたより身体弱いのよ!! それに……」

「す、すまん。師匠って久しぶりに呼ばれて嬉しくなっちまって加減が……」

「謝る相手が違うわよ!! ったく。身体が出来てないんだからそれに見合った訓練を考えなさい。それと訓練は私も付き添うわ。あんただけじゃ不安で孤島に帰れやしないもの」

「すまん……」



「ぎるじい……」

「ククルス!起きられるか?」


 身体がダルイ……

 ここは俺の部屋か……

 首だけで見回すと隣にドヴァン、あとはぎるじいとアサヒさんだけのようだ。

 自分とドヴァンに鑑定を浅くかけるが、状態の所には良好の文字。

 修行でボロボロだったドヴァンは見た限り青あざなんかも無く血色もいい。


「ぎるじい、丸太半分まで切ったよ」

「そ、その事なんだがなククルス……」

「ククルス君。貴方の馬鹿なおじいちゃんのせいで貴方とお友達の身体はボロボロだったの。今はもう貴方の精霊と私で治したから安心して。次からギルが昨日みたいな馬鹿な加減で訓練する事がないように私が見張ってるから」

「すまん。ちょっと調子に乗りすぎた……」

「俺はいいからドヴァンにはちゃんと謝って、マトモな修行にしてね」

「ああ」


 そこでまた急激な眠気に襲われた。

 意識は逆らえず、眠りという泥のような本能に沈んだ。















 猛烈に腹が減って目覚めた!!

 ヤバイ!マジヤバイ!!

 部屋は真っ暗だ。窓から月明かりを見ていると目が慣れてきた。

 布団から抜け出そうと身体をよじるとふとドヴァンと目が合った。


「ドヴァン身体は大丈夫?」

「んー。取り敢えずお腹減った。それ以外は大丈夫かな?」

「そっか。修行やってけそうか? なんか今日のは特別厳しかったみたいだけど。」

「そうなの? ククルスが木を頑張って切ってるの見て負けられないなぁと思って張り切り過ぎちゃった。今日より優しいならやれるかな?」

「そっか。俺もドヴァンが槍を防いでるのを見て、負けられないなと思ってやってたら倒れちまった」

「ふふ。一緒だね」

「ああ。それより腹へったから居間へ行こうぜ。パンとジャムなら有るはずだ。それにドヴァンが居るから火も使える。スープでも作って食おう」

「真っ暗だけど怒られない? お腹は減ったから食べたいけど」

「修行で手加減し無さ過ぎたぎるじいのせいだから、責任はぎるじいにとってもらおう。さ、行こうぜ~」




 台所にはスープがもうあった。

 温めている間にジャムを塗ったパンを二人でしこたま食った。

 スープは薄味が妙に美味しくて軽くおかわりをした。

 食ったら眠くなったのでまた二人で布団に向かい、眠った。
















 それからの修行はアサヒさんが監視に付き、体作りと技術体得を半々で行うようになった。


 体作りはドヴァンはランニングで持久力を、俺はそれに瞬発力強化で全力ダッシュをプラス。

 技術のほうはドヴァンは変わらずひたすら受ける。それと槍の扱いも少しずつ教わっているようだ。

 俺は丸太を半分切れるなら普通の物なら大概は切れると言われて、ぎるじいの持ち物の素材を片っ端から切って、斬る感覚と技術の向上を。それと気配の消し方なんかも学んだ。丸太は継続。

 最近は走り抜けながら斬る練習や、色んな構えの状態からでも斬れるように指導を受けている。


 それとアサヒさんから魔法の講義を受けている。

 竜人は魔法の体系が違うようだ。その名も『活身術』。

 体内で魔法を起こし身体を強化したり、魔力を細胞に注ぎ属性毎に効果が違う魔法を教わった。

 彼女の竜化もこれで、身体にある竜の因子に魔力を注ぐ事で変身するようだ。


 ちなみに俺は水属性の「自己治癒力強化」と、風属性の「触覚鋭敏化」に「風身」という身軽になる魔法。それと氷属性の「思考加速」を習得予定。


 ドヴァンは風属性の「風身」に、土属性の「剛体」という衝撃に強くなる魔法。それと火属性の「筋力強化」。更に、土と風の複合属性の「砂属性」を扱えるようになったため、動きの始まりをぼやかす「砂塵膜」を習得予定。追加で精霊語も闇魔法で植え付けた。












 そんなこんな修行に明け暮れていると夏はいつの間にか去り秋になった。

 最近はじいちゃんが立ち上げた工房からグラスボードが発売されたせいか、子供達が乗って飛んでいるのを見かける。半球状の座る専用タイプに乗ってる女の子を見た時はファンタジーっていうよりSFだった。


 そんなことより大狩猟祭りの時期である。今年は何を作ろうか考えながら丸太をスルリと三分の二ほど斬っていると、ぎるじいから声がかかった。



「ククルス、ドヴァン。短い修行でもお前達は強くなった。まだまだ修行は続くが、そろそろ自分の実力を確かめるのも兼ねて一人一頭、魔法を使わずパロルを狩ってこい。大狩猟祭りの狩猟チームの登録用紙だ。書いたらジーンに渡せ。装備は貸してやる」

「師匠、移動と運搬にグラスボードは使っていいですか?」

「まーお前らじゃ二匹もパロル運べないし良いだろ」

「うっし!一頭丸々食える〜!!」

「ククルスは相変わらずだなぁ。僕は狩れるか心配だよ」

「ドヴァンなら盾で受けてカウンターで一発だろ?」

「そうかなぁ……」





 狩猟チームの登録用紙はチーム名を記入しなくてはならず、二人でうんうん悩んだ結果「風の童歌」になった。意味とかはない。

 ちなみにとうちゃんと子供が産まれてめっきり家に来なくなったマロウ叔父さんのチームは「風神の囁き」だそうだ。















 という訳で祭りじゃー!!!

 現在はスタート地点である、北部の山の手前に張った、若草色の布に囲まれた祭り会場におります。ちなみに魔法は戦闘での使用をぎるじいから禁止されてるので、ヨトゥンはアサヒさんの腕の中だ。

 そわそわしていると木箱を集めた壇上にじいちゃん含めた三氏族長が上がった。



「「「今年も黄金の月がきた!!!」」」

「風の囁きは獲物をもたらすだろう!!!」

「土の加護が恵みを与えるだろう!!!」

「水の加護が渇きを癒すだろう!!!」

「「「さあ!!!草原は黄金に染まった!!!今この餓え無きひと時に感謝を!!!」」」


「狩人は囁きに従い草原に糧を!!!」

「「「うぉおおおおおおああああ!!!!」」」



 どうやら開始のようだ。

 ドヴァンに目配せをして、グラスボードに魔力を注ぐ。

 集団から浮き出ると、同じようにグラスボードに乗った父ちゃんが先行しているのが見えた。マロウ叔父さんは運搬用だろう、馬車を引いてる。

 まぁ、グラスボードは大人にはまだ余りまわっていない。アドバンテージは有るほうだ。焦る必要はないだろう。

 子供から借りたのか、2、3人グラスボードに乗って横切った。

 みんな考える事は同じってか。





 数分で山の中程に到着。

 ドヴァンの箱型グラスボードに俺のグラスボードを置いて、ぎるじいから借りた直剣を背中に回す。

 ドヴァンも盾を腕に持ち、槍を背中にまわした。準備完了!


「じゃあ一人一匹だからここで別れよう。どっちかが早く終わってもここで待つ感じで」

「わかった。それじゃあ、風の神の囁きを」

「風の神の囁きを」




 少し離れてから全方位に魔力を薄く流す。これで、索敵範囲は30mくらいだ。

 上の方に向かってみよう。





 はい、居ました。

 鼻を伸ばしてはなんかの果物を口に運んでおります。

「風身」発動!! 少し距離をとって音を立てないようにしながら、気配を消して背後に回って木に登り、枝を伝って落下ポイントへ到着!! 「風身」解除!!

 はぁー、ふぅー。

 よし。

 狙うは首だ。

 首を落とす。一撃で。

 背中から剣を鞘ごと回し、鞘からぬく。鞘はまた背中へ。

 力を抜く。首だ、首だけ見ろ。アソコだ、アソコに刃を立てる。

 パロルが果物をもぎ取った。口へ運ぶ。今だっ!!!

 脚を縮め、解き放つ!!首だ!!首!!首!!首!!!首!!!!

 刃が首筋に触れる。落ちるままにスライドしていく。

 地面が近い!!ヤバイ!!顔からぶつかる!!!

『風よ吹き荒れろ!!!』

 バサァーと落ち葉が舞散った。


 なんとか軟着地成功……


 あ、パロルどうなった?


 うわぁ……血の噴水状態だ……


 まぁ、首はキレイに落ちてるしいっかー。

 結果だけ見れば大成功だな!!

 しかし、パロルみたいな首の位置が低い奴にジャンプ切りはまずかった。

 危ねぇ。やっぱあれだ。紋章刻印で無重力装備作ろう。着地用に。

 お、血も止まってきたな。


『水よ、獲物の不浄を洗い流せ』


 血と落ち葉なんかを洗浄!!

 お腹を割いて腸を裂きながら引きずり出す。勿論食べるから、水魔法で洗浄!

 あ、やべ、この場で解体しても運べねぇや。

 先にグラスボードへ行ってドヴァンを迎えに行くか。


『氷よ、獲物を包み何人にも奪わせるな』


 保存はおっけー。

 あとはその辺りの草とか被せてカモフラージュ。


 さ、グラスボードまで走るか!





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