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第6章:動き出す存在

「むう……どうするべきかな…結構面倒な事になってるな」

 誰にも気付かれることなく、神殿の上に座り遠くを望んでいるが、その姿格好からは微塵もヤル気を感じる事は出来ない。

「まぁ、どうでもいいか、どのみち俺が手を下すまではない」

 服は乱れていて、左手にはブレスレットが付いている、そのブレスレットには透明なクロスの中心部の球に漆黒が湛えられている。

「存在の…死ねェ!」

「またおまえか…どうでも良いが、そろそろ本気で死ぬか?」

 その声には先程までの面倒臭さは微塵もなく、ただ異常な殺意だけがあった。

(よこしま)のレイヴァが命ずる、我が敵を打て!」

 手から発生した黒い霧のような物は集合し、塊となって剣と化していた。

「面倒だが…ヤルか……混沌……束縛解放…第一次束縛解除(ファーストリミッターパージ)…」

 十字のクロスから湛えられていた漆黒が吐き出され、漆黒の巨大な刀身と柄を形成し、禍々しい大剣を作り出した、明らかに扱える大きさではない。

「宝具、アビス・ホロウ・クレイドル【虚な奈落の揺篭】」

 一瞬その剣の大きさと禍々しさに、怯んだが、決心したのか飛び込んで行った。

「死ねやぁ!」

 相手の一撃を見極め、柄を使って受け止めて、そのまま振り払い、薙払う振りが見えたため、完全に刀身を受け止めるはずだった。

「なっ!」

 受け止められる事なく、刃が峰をすり抜け、一瞬にして真っ二つ斬り裂いた、斬り裂かれた身体は暗黒に取り込まれ、跡形もなくなってしまった。

「全く、これ以外使う必要はない…とは言ってもコイツは、例外なく完全に神を殺す、二振りのなかの一振り」

 次の瞬間にはブレスレットに戻っていた。

「さぁて………どうする?戦いは熾烈さを増すぞ、未だに目覚めぬ天空帝よ」

 その声は誰にも聞こえて居ないはずだったが、満足気な表情をすると、再び神殿に座り直した、何かの反応を感じたように。

「天空帝、目覚めも間近か…どう動く?因縁渦巻く戦いよ」

 先程までとは打って変わって、急に真面目な顔になっていた。

「エトワズ様!何処にいらっしゃるのですか!お客様ですよ!」

 下から呼ぶ声が為ているが、聞いて居ないのか、無視している。

「構わない、居る場所位わかるから、自分で行くさ」

「ですが…!」

「気をつかわなくていいですよ」

 来たのはどうやら、男と女のようで、その声には何処か気高さが混じっていた。

「やれやれ……皇位の二人がなんのようだ?」

「簡単な話しだ……エ……、いや、エルヴァイクレイスの封印を解いて欲しい」

「無理だ、あれは存在無き封印…」

「ですが、貴方様なら可能でしょう?最高神、存在のエトワズ様」

 やられたと言った表情を一瞬だけ見せたが、すぐに何時もの表情に戻っていた。

「……確かに可能だ、しかし、あれは自ら解く封印だ」

「ですが!」

「分かっている、しかし、本当に成長を祈るなら解放する訳に行かない」

 二人の表情は苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。

「では……せめて一つだけ解放してください」

「封印解放はしないぞ」

「いえ、中にいる煉獄帝プルガトリオを解放してください」

 予想外の提案に驚き、意図に気付いたのかただ複雑な笑みを浮かべていた。

「それならよかろう、ただし、奴が目覚めた場合は貴様等で処理を行え、それだけだ」

「わかりました、お願いします、解放したプルガトリオにこれを…」

「ふむ…よかろう……では失礼するぞ、明星皇、混沌皇」

 背を向けたが、その表情は笑みを浮かべていた。

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