第3章:海魔、海神と絆自身
非常にUPが遅れました、未だ至らぬ点は有りますが、よろしくお願いします
闘いの神カフカの暗黒面である、騙しのファドラスを倒し、2週間位が経過した、しかし、他の神の暗黒面の情報は、全くと言って良いほどなかった、まるで何かの事を狙ってじっと息を潜めているようだった。
「アイツら息を潜めているのか?」
『だろうな、20位に位置する、騙しを余裕で倒したんだ、慎重になるのは仕方の無いことだろう』
暗黒面にはランクがあり、そのなかでも10位以内に入っている者を、暗黒十神と呼ばれ、恐れられている。
「向こうが動かないのならば、こちらが動き、奴らを引き出す」
『何か良い案があるのか?』
「無いわけではないが…危険を伴う」
何時にも増して、真剣な顔だからか、妙に不安が押し寄せてくる感覚をリンクは覚えた。
『最高神に勝負を挑むのか?』
最高神、それは、ギリシャ神話では全知全能を司るゼウス、ケルト神話では戦い、死、生命など多数を司るオーディンなどの強大かつ、最強の武器等を持っている神の事である。
「全ての理を知り、全て理を用いた能力を使うゼウス、全てを貫く槍、如何なる場所も駆ける馬を持つ、死と戦いの神オーディン」
一部の例外を抜き、暗黒面は触媒の神を2倍以上、上回る力を保持しているため、最高神以外では立ち打ちすることができないため、元来より、暗黒面討伐は最高神の仕事であった。
「しかし……神々は、その職務を放棄し、自然に委ねた」
『それが、事の始まりだった……か』
最高神が暗黒面狩りを中断した事で、隠れていた暗黒面が次々と、神々から出始めた。
「最高神は強い、だがっ……奴らの誰かが親父達を殺した奴らなんだよ!」
『しかしながら、今のお前では些か力不足だ、もっと力を磨け、全て、いや、万物の境界が見えるまで』
万物の境界、それは全てに存在する矛盾と言う名の綻び、如何なる神に至っても存在し、空間をも破壊、いや抹消する事が可能になる、最強にして、最悪の禍[まが]である。
「禍眼・境乖殺か(まがん・きょうかいさつ)……」
『そうだ、正確には禍なりし境界を乖離させ殺す眼だ』
実際は覚醒の直前まで来ているのだが、あと一歩の何かが足りないので覚醒することが出来ないのだ。
「ん?この影は……もしかして……」
『間違いない、海魔、海神と呼ばれている海と水の神オルクだ』
その影の正体として頭上には、青緑の鱗をもった龍がいた。
「おぉ……エリアではないか、久しいな」
「あぁ、久しぶりだな、オルク、さっきまで何かしてたのか?」
何故かオルクの体はグッショリと濡れており、水が滴っていた。
「水浴びをした帰りだ、さすがにこのままでは喋りにくいな」
突如として体が一点に集まるように小さくなると、姿は人にはなっていたが、特徴的な青緑の鱗が二の腕から肩まであることと、アルビノにかかったように紅く輝く瞳は健在であった。
「これで喋りやすくなったな」
「人化の法か……いつ見ても驚くな」
「気にするな、何時もの事だろう?それに……絆のリンク、いや正確には…」
リンクは、オルクの一瞬の力の動きを見逃さなかった。
『オルク!貴様!』
その制止の言葉には、圧倒的な殺意が込められており、それはエリアの体を通した事で、この世の事象に紫電として現れた。
「この殺意……どうやら本物のようだな」
その手には、明らかにエリアを殺すために作ったであろう、短刀が握られていた。
「良いだろう、手加減はしねぇぞ……」
既に表層意識はリンクに変わっているようで、髪が蒼から紅に変わっていた。
『リンク!止めろ、オルクに手を出すな!』
「何を言ってやがる!今のオルクは、海神じゃねぇ!海魔の方、暗黒面だ!」
「さすがに気付いていたか、では挨拶だな、暗黒十神が第九位、海魔オルクだ、以後御見知り置きをとは言っても、貴様らはここで死ぬんだがな!」
言い終わった瞬間に、水で出来た槍と思われる物が飛んできた。
「くっ!」
ギリギリで回避したが、着地点に向かい槍が飛んでいた、着地と同時に槍が足を貫いた。
「グァァッ!」
『リンク!しっかりしろ、何時ものお前らしくな……』
「すまない、エリア……少しダケだ」
突然、表層意識ではないはずのエリアの存在が消えた。
「オルク……かかって来いよ、本気で相手をしてやる」
突如として、先程まではなかったはずの呪刻が全身に浮かび上がり、短かった髪も脚まで届きそうに長い。
「それが本来か……絆のリンク、いや…」
その先を言う前に、脇腹を何かが貫いた。
「ウッ、ゴフッ!こ、これは…」
「知らぬ筈はなかろう?我が名を知る者よ」
「グァァッ!燃えるだと!この海魔である我が!」
「大馬鹿者よ、獄炎瀑布の咆吼を聞け、吼爆叉・烈幻咆乖【クゥアス・アルフェスト】!」
脇腹を貫いている何かが、突如として爆発を起こしたが、何故か身体には傷一つなかった。
「我が炎は身は焼かず、貴様の魂を焼き尽くす……」
「あぁ……お、俺の存在が消えて行く」
リンクの姿は、いつの間にか元に戻っている
「エリア、すまなんだぞ、まだお前には聞かれたくないのだ」
『んぁ?終わったか……まぁ、何があったかは知らないけど、俺は全く気にしてないぞ、人も神も隠し事くらいするものだ』
「そう言って貰えれば俺も気が楽だ」
すぐに髪の色が元の蒼に戻ると、表層意識がエリアに変わった。
「九位と言っていたが、以外にアッサリと倒したんだな?」
『む……まぁ、ソウだな、後は運がよかった、ただそれだけだ』
本来、暗黒十神を運で倒せるはずはないが、エリアは単純な性格の為それを易々と信じた。
「さて、次の暗黒面を探しにさ迷うか…」
そして、再び何時終わるか分からない、仇の暗黒面を探す旅が再会される。
いかがでしたか?
今回出てきた、海神、海魔オルクは、維月十夜様から提供していただいたネタです、十分に表現出来たか、分かりませんが、自分なりに頑張ったつもりです。