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【無銘】  作者: 轟ちゃん
第壱回
3/6

 ここいらで、幼馴染について話そう。

 僕の幼馴染、高校も一緒で教室も同じ。

 席までもが隣・・・と言うわけでもなく、2列ぐらい遠くの席だった。

 名前は、津々つつしま 夜宵やよい

 小柄で、胸は小さく、髪も短い(短いと言っても、大体肩に掛かるか掛からないかぐらい。)。

 成績もなかなか、だがしかしだ。

 こいつは悪い奴ではないが、天然と言うべきか。

 ドジっこだ。


 寝坊、忘れ物、時おり寝癖が残りっぱなしだったりと、

 大体は

よくあることかな。


 それでもこいつは根はいい奴で、色々と世話になっているし、何だかんだで優しいやつなのだ。

 「天然はひどいよぉ。」


 今現在、夜宵とマクドナルドで飲食中、雑談中。


 「ぁあ、ごめんごめん。」


 入学式は3時くらいに終わって、

 夜宵と二人でマクドナルドに行く事にした。


 店内で食べる事にして、二階の奥の窓側の席に座った。

 高層マンションの側面に沿って落ちているオレンジが

 今朝のオレンジとはまた別の意味で綺麗だった。



 「かなちゃん、何部入るの?」


 先に話をふったのは夜宵だった。

 かなちゃんとは、勿論、僕の事で、昔からそう呼ばれてたからもう慣れっこだけれど、

 高校生にもなったわけだし、正直、そろそろ止めてほしい。



 「あ~ん~、まだ決めてないかな。」


 「中学校のときみたいに、入ってすぐ止めたりするの、駄目だからね!」


 お前は僕の母親か。

 まあ実際、世話焼かせてる部分はあるんだけれどね。



 ほんとこいつには、色々と助けてもらった。

 金がないときなんかは、料理をご馳走してくれたし。

 時々、野菜とかお裾分けしてくれたり。


 ちなみに僕はアパートに一人暮らしだ。

 下に妹がいて、隣町のおばあちゃんの家に住んでいる。おじいちゃんも一緒だ。

 父は僕がまだ中学生になる前に事故で死んで、母は僕が中学卒業と共に――――――。



 「ん~そいじゃあ、夜宵、お前は何部に入るんだ?」


 「あ~実際のところ、私も決めてないんだぁ。」


 「なんだよ。」


 「えへへへ」


 なぜか照れくさそうに笑う夜宵。

 いや、褒めてねぇよ!?


 ポテトを一本ずつかじりながら話を続ける。


 「あ、でも興味ある部活はあるよ!」


 「へぇ、何部だよ。」


 「釣部。」


 Ha?



 「お前が?」


 「お魚さん食べたいな~って思って。」


 「食うことしか考えてねぇのかよ!?」


 「あ、鮎とか塩焼きにして食べてみたいな~、おいしいんだってよ?」


 らしいね。

 まあ、鮎の塩焼きなら等の昔に食べてるけれどね。

 あれは美味しかった。


 優越感に浸る僕がいた。

 ハンバーガーショップで焼き魚の話とはなかなかシュール。


 「・・・釣部がどんな活動するのか知らないけれど、僕らの通う学校って、釣部あったか?」


 「あ・・・・・・・・・。」


 沈黙。


 いや、待てよ!!?

 そこからかお前は…。


 これだから。



 「お前HP見ろよ。」


 「ごめん、機会音痴なんだぁわたし。」


 「インターネットくらい開けるようになれ。」


 機会音痴どころの話じゃねーぞ!?

 やっぱりドジだった。


 チーズバーガーを一噛み、二噛みしてコーラを飲んだあと

 ポテトにかじりながら夜宵との会話を続ける。


 「ん~、釣部ないんだ~。じゃあ茶道部でいいや。」


 「食い物目当ても程々にしろ、てか食い物目当てで部活決めるな!!」


 「ヱ!?何で分かったの!?怖い!!」


 「怖がるな!わざわざ文字を変換するな!」


 「えへへへへ。」


 だからなんで照れるんだ?

 

 照れながら夜宵は口の中にポテトを3、4本放り込み、モグモグさせる。

 オレンジジュースとともに流し込んで話をさいかいさせた。


 「でも和菓子っておいしそうじゃん。今まで和菓子ってあんまり食べたことなっかたからさぁ。」


 「・・・。」


 こいつに、食べ物は諦めろ。なんて言っても無駄なんだろうな。

 最終的に決めるのはこいつだ。これ以上の口出しはよそう。


 「まあ、精々がんばれよ。」


 「やった~~!!」


 親におねだりを粘ってした結果、結局許可を得た子供の如く。

 夜宵は大喜びだった。



 「僕が許可しなかったら、入らない気だったのか?」


 「うん、まあね。」


 おい、それって何かとまづくないか…。


 「なんとなぁくだよ。」


 「なんだか知らないけれど、お前の人生、生きる主導権を僕が握っているみたいじゃないか!」


 「ん~そうかな~?」


 部活ぐらい自分でじっくり考えて決めろよ。

 じっくりとな!



 「あ~、料理部もいいな~。」


 「あぁもうあとは勝手にしてくれ。」


 「そんな投げ出さないでよ~。」


 お前の事情だろうが!!って怒鳴りたかった。


 こういった感じで、バカトークが繰り広げられ、困っている、

 店員が見えた。



 ーーーーーー店を出て、家路へ向かう。



 「今更だけどさ~。」


 夜宵が話をふってきた。



 「ん?」


 「入学式ってすっごくドキドキしたね!」


 ほんと今更だね。終わった直後に言うならまだしも、

 時間経過も考えてモノを言って欲しいよ。


 「僕はぜんぜんしてなかったけど?」


 「え?あ、そう。」


 少しだけがっかりしたような顔見せて、夜宵は続ける。



 「新しい学校生活が始まるんだなぁ、って、わくわくしちゃうよ?私。」


 学園ドラマとかでよく言いそうな台詞を言いやがった。



 「・・・お疲れ様です・・・。」


 「ほぇ!?な、なんでお疲れさまなの!?」


 「いいやぁ、人生楽しんでいるんだなぁ、お前は。」


 「ぁあ・・・う、うん。まぁねぇ~。」


 えへへっ。


 ・・・ぶっちゃけ、こいつ笑うと結構かわ―――(ry



 「・・・お前の笑顔に100点満点中、50点やろう!」


 「へ?ご・・・ごじゅ・・・ごじゅう・・・?」


 うん、50点。


 いいねぇ、50点。


 良くもないが、悪くもない平均を行く50点。



 やっぱどっちかに片寄らず平均がいいんだよ。

 平均最高!!

 ・・・平均最高、てその言葉がすでに片寄ってる気がした。



 「平均的な顔なんだ私ぃ・・・。」


 夜宵にとって、平均はあまり好ましくないらしい。

 若干、目がうるうるしていた。


 泣くなよ…。


 「いやいやいや、平均はいいぞ?お前、笑顔平均てことは、異様な顔では少なくともないんだからな。」


 「そ、そっかぁ。うん、平均いいね。私平均極めるよ。」


 極めるんだ!?


 まぁいい、是非とも極めたまえ。

 そしていずれ、平均王となるがいいさ。


 平均の王ってどんな王なのか、地味に気になる。



 「んじゃ、ここいらで。じゃな。」


 「うん、ばいばい。」


 僕の住んでいるアパートの前で、夜宵と別れた。

 真っ暗ではないが少しだけ空が紫がかっている。


 ドアを開ける前に夜宵の背中を数秒眺めて、部屋のドアへと向かった。

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