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【無銘】  作者: 轟ちゃん
第壱回
2/6

 非常に今、気まずい空気が漂っている。

 絶対笑えるだろうとネタを披露してみたけど観客は誰一人として笑うことはなかった、みたいな。

 そんな感じの空気。


 その呆れたまま。

 ポーズは本当にスカートの裾で股を隠していた。


 「何をそんなに見つめているのかしら?」


 Giku・・・。

 しまった。


 今の今まで水玉オレンジを凝視していた・・・!

 いい感じに股のラインに沿ってピッチリしているのを凝視していた。


 あまりの緊張に身体が硬直する、頭の中はA4の白紙だけだ。

 どうしよう。

 冷静になれ、落ち着け神並谷 成海!!

 お前は突如の疑問詞に緊張で答えられない程のchicken野郎ではないはずだ!!


 この2,0000000345秒くらいで思いついた言葉は


 「あ、いやぁ、べ、別に何も・・・。」


 別に何でもあります。

 

 コツコツ。

 彼女はゆっくりとこちらに向かって来る。

 コツコツ。

 一段一段、丁寧に一定の速さで。

 コツコツ。

 モデルのような細い足。

 コツコツ。

 綺麗な黒の長髪が階段を下りる度にゆれ、水玉オレンジとおさらばする。

 さようなら、水玉オレンジ。


 「ふ~ん。」


 なんでもないんだぁ。と、思いっきりニヤついて

 僕の顔を覗いてくる。


 僕を疑っている。

 納得したように見せといて。

誤魔化しは無駄だったようだ。


 そこだけ微妙に怖かった。

朝の校舎は静か過ぎて逆に不気味だったりする、それが余計に引き立てていた。


 「でも、先輩にあいさつがないのは頂けないわ。」 

 

 先輩だったんだぁ・・・!?


 「先輩だったのよ。」

 「お、おはようございます・・・。」


 言ってくんなきゃわかんねーよ!

 「察しなさい。」

 

 態度的にそうだろうとは思っていたけれど、納得したくはなかった!!


 螺旋の階段に沿って窓ガラスが作られていて、

 そのガラスから日差しが反射して僕たちの影を作っている

 

 薄く、弱弱しく、僕のポーズをそのままに真似をする。

 生意気な奴だ。影に言っても仕方ないけれど。

それでも彼女の存在感はとても力強いものだった。



 「はぁ、まったく、先輩に対するその反骨精神はどうしてあるのかしら。初めて出会ってまだ1分くらいしか経っていないのに。」


 ここまでの仲になったのはあなたのパンツのお陰です。


 「いい加減パンツから離れて頂戴。」


汚物でも見るような蔑んだ目でこちらに顔を向ける。


 「ところで。」


 「はい。」


 これ以上何があるっていうんだ!!

 僕は教室に向かっていただけだし、それに加えて水玉オレンジを見ただけだし。

 何も悪いことはしていない!


 「柄をピンポイントで当ててる時点で私にとっては、それはすごく気分が悪くなる話なのだけれど。」


 ――――――名前。


 「あ・・・神並谷・・・です。」


 下の名前はあえて伏せておいた。

 この人の場合、バカにされそうだから。

 女の子みたいって。


 本当は、神並谷かなみや 成海なるみ15歳(今年の誕生日を迎えれば16歳)。

 簡単にキャラ設定を言わせてもらうなら、髪の毛は割と長め、身長は171cmと平均より小さい、


 左手に腕時計、右手には鞄、現在学校指定の制服を装着。

 こんな感じ。

 至って普通の男子高校生。


 まあ、ある事情で髪の毛の色素を失ったりするんだけど、

 それについては後日話す事になるだろう。


 「神並谷君・・・ねぇ。」

 彼女の目は何かをまだ待っているような目だった。


 「あれ、下の名前は?」

 何かを待っていた。


 「・・・成海です・・・。」


 HAHAHAHAHAHA。

 大爆笑でした。


 「www。」


 www←だけは使わないで欲しかった!!

強烈なイメージダウン…この人に対する謎が深まる一方だ。


 「面白い名前じゃない。誰が付けたの?」


 そこ聞く!?

 とりあえず、言ってみた。


 「両親のはずですけど・・・。」


 「あらそう、ご両親のセンスに感謝なさい。」


 他人に関してまで

 どこまでも上から目線な女だ‼


 「ちなみに、私は、志野崎しのさき 流華るか。あなたも名乗ったんだから、私もちゃんとなのらないとね。」


 それを言うなら、あなたから名乗るべきじゃあ?

 ・・・まあいいや。

 とやかく言っても意味はない。


 「あぁ、あと。」


 次はなんだよ。

 と、不意にだった。


 いきなり、ゾクッとくる何か、オーラと言うべきか、今までの空気が一変する何かが。

 僕の耳元で囁いた。


 「気づいてない訳じゃあないんだからね。」


 その言葉は本当に今までの和やか(?)な空気を変化させ、一気に冷凍させるようだった。

 思わず振り返った僕が見たものは。


 上りきった6段と奥に見える廊下だけだった。

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