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"QueenⅡ"に寄せて  作者: イプシロン
Side Black
6/11

鬼の錯乱――Ogre battle


  今は昔、昔は今

  老いて白髪になった

  俺の話を黙して聞け!

  口を閉じて聞くんだ

  狂宴は終わったと(ろう)するな


  占いが大吉だからと

  有頂天になんかなるな

  美酒に酔って自惚れるな

  ハメルーンの笛吹き男に

  気をゆるして油断するな


  宵闇を照らす静かな朧月夜

  祝宴は(つつが)なく済んで人も去った

  明ければ爽やかな朝がまたくる

  そんな夢をいつまで見ている

  ここが地獄だと知らないのか


  お前の卑しい姿が見えないのか?

  じゃあ鏡を用意して差しあげよう

  二つの眼を開いてよく見ろ

  さあ見るんだ、何が見えた?

  目の前にいる鬼が見えたか?


  そうだお前こそが鬼だ

  赤ら顔をして髪はぐしゃぐしゃ

  にょっきり突き出た角が二本

  おどおどした目は臆病そうだが

  空腹で貪欲に獲物を探している


  人を喰ったことを言うな?

  人を喰ってるのはお前だ!

  新鮮な人肉を貪った味を

  もう忘れたというのか


  なにお前だってと

  俺を責めてどうするんだ

  どれどれ鏡を貸してみろ

  それみたことかと

  悦に浸って笑うんじゃない


  そうだ俺もまた鬼であると

  すっかり忘れていたのさ

  だがそれは俺達だけじゃない

  どいつもこいつも

  己の本姓を忘れていやがる


  やたらに目をギラつかせ

  他人を羨み物欲にかられ

  黄金や贅沢を追いかけ回し

  あげくの果てに共食いだ


  人を食う恐ろしい鬼が

  鬼を喰ってどうする?

  人も鬼も似たようだと?

  味も大して変わらないと?

  だからって俺を喰おうとするな!


  よしやがれ、この鬼めが!

  俺は老いて落ちぶれても

  鬼になんかはなりゃしない

  そいつは昔の話で思い出で

  若気のいたりというもので

  いまは立派な人間様だ


  この綺麗に梳いた白髪が

  何よりの証拠だ

  それにほれ、角もない

  顔の皺が増えはしたが

  肌は白くて赤くない

  鼻だってつぶれてない


  だから耳をほじって

  俺の話をよーく聞け!

  今は昔で昔は今なんだ

  つまり俺は…

  鬼なのか?

  いやまてよ…

  今が今なら?

  俺は…人間なのか?

  はたまた鬼なのか?

  おいこら、鏡を返せ!

Queen - Ogre Battle

https://www.youtube.com/watch?v=7p-5CgWP7Iw

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