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【黄色の壁】  作者: 石田ヨネ
第四章 調査、黄色の壁

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34/44

34 ああ? ウンコ? ぽよ? あの、何か、ある特定のレンジの趣味の人たちに刺さるような?



 そもそも正義‐対‐正義、正義-対‐悪などという場合はあまり、無い。

 おおむね悪vsおおむね悪という構図のほうが、正しい。

 人間というのは、性悪説が正しく、世の中を良くしたいと思う者たちよりも謀略を企てる者たちのほうこそ力を合わせる、ということを考えると、そのほうが自然だ。

 なので、自由と民主主義という聞こえのよいフレーズで無邪気に応戦すればするほど、よけいに多くの、その民主主義とされる国の民が代理戦争ビジネスの駒となって犠牲になることに加担するだけだろう。

 まあ、とはいえ――、誰かが『戦争とは最良の公共事業だ』と言ったように、そういう面で支持するなら、否定はしないが……



※※『赤間・下関怪事変 怪石の呼び声』より




「なッ――!? 何だって!?」

「ぽよ」

 ドン・ヨンファが驚愕の声をあげ、

「お、おい! それで、ソユンをどうするつもりなんだ!?」

 と、翁に聞く。

 首輪爆弾。

 2000年代の日本で話題にもなった、某バトルロワイヤルのガジェット。

 実際に米国で起き、TVでも中継中に起きた事件 (奇怪で複雑な経緯があるようだが)、と――

 まあ、そのような知見が無かろうとも、“それ”によって“何を起こそうとしている”のか――?

 想像するに、難くないだろう。

「どうするつもりか――? か……。その前に、何故、“これ”が生じたのか、考察してるがいい」

 翁は、やれやれと言う。

「は? な、何を言って――」

「ぽよ」

 と、その言葉に当惑するドン・ヨンファに、

「深層の、自己の投影――」

「ああ……? ぽよ? “グロもの”ばっか、観てるからってこと? ぽよ?」

「さあ、な……」

「いや、さあなって? ぽよ? じゃあ、何のために言ったのよ、ぽよ?」

 と、パク・ソユンが、若干のイラっとした顔になる。

「そ、それで……、ソユンを、いったい? どうする気なんだ?」

「ぽよ」

 また、ドン・ヨンファが動揺し、慌てるのを何とか抑えながら聞く。 

 なお、当事者のパク・ソユンは、一ミリグラムも慌ててないという。

 いや、少しは慌てろよという話だが……

「どうする気、だと……? そう、だなぁ……?」

 翁は、冷たい表情で質問に反応しながらも、どこか不敵に嗤いそうに、天を仰いで考えてみせ、

「さしずめ……、映画の『SAW』みたいに、“君”の内面を試してみたい……。ちょうど、君の芸名がSAWであることも、何かの縁だろう……」

 と、パク・ソユンのほうを見て、ニヤリと薄ら笑いを浮かべた。

「ぽよ」

 パク・ソユンが、ジトッ……とした目で、翁を見る。

 その翁は、続ける。

「それで……? その首輪の、爆弾を、解いてほしいか? パク・ソユン?」

「ぽよ」

 パク・ソユンが、答える。

 やはり、どっちの『ぽよ』か分からないが。

「しかし……、ただ解いてやるだけでは、面白くない……。なので、首輪を解いてやるために……、君が、どうするべきか――? 試練を、課す……」

「し、試練だって……?」

 緊迫する様子のドン・ヨンファと、

「はぁ、早く言ってよ、ぽよ」

 と、ダルそうな様子で、パク・ソユンが促す。

「ふぅ……、いいだろう……。まずは、そうだなぁ……?」

 翁が、やれやれ……と、しかしながら、ニタァッ……と、どこか嗤うような表情で答える。


「――さしずめ、そこで、脱糞でもしてみなさい」


「なっ――」

 と、翁の口から出された衝撃的な要求に、思わず言葉を失うドン・ヨンファと、

「ぽよ」

 と、パク・ソユンが、やはり『ぽよ』で反応する。

「お、おいっ……、何を?」

 ドン・ヨンファが、困惑の混じった険しい表情で聞く。

「何を――? だと……? これは、ある種の交換条件だ……」

「こ、交換条件、だって……?」

「ああ……。生への執着と、屈辱的な羞恥……。その狭間で、君の相方のパク・ソユンが、どう揺れるのか――? 見てみようというわけだ……」

 と、翁が答えると、 

「ああ? ウンコ? ぽよ? あの、何か、ある特定のレンジの趣味の人たちに刺さるような?」

「ちょっ!? ソユン!? 何その、ある特定のレンジって――!? いや、まあ、そうなんだけどさ、」

 と、動揺しないパク・ソユンに、逆にドン・ヨンファが動揺する。

 そのようにしていると、

「フン……。分かっているなら……、今から、“それ”をしてみなさい……。そうしたら……、考えてもやらなくは、ない……」

 と、翁が言って、促してきた。

『エッチするのも考えてあげる、括弧、させてあげるとは言ってない』構文で。

 ただ、先ほどの余裕のある不敵な笑みが、少し薄れていたが……

 その、翁の要求に、

「ぽよ。別にいいけどー、ぽよ」

「は? いいけど、って、」

 と、ケロッとして答えるパク・ソユンに、ドン・ヨンファがポカンとする。

 その、思わぬ答えに、

「……」

 と、先ほどまで、少し饒舌に話していた翁が沈黙する。

「いや、言葉どおりぽよ。何、ぽよ? それくらいで、別に、動揺したりしないんだけど、ぽよ。それとも、何ぽよ? 何か、私が動揺したりするのを期待したの、ぽよ?」

「そ、ソユン、」

 と、パク・ソユンが、翁を見て言う。

「……」

 翁の目が、どこか険しいときの“それ”に変わる。

 また、パク・ソユンが

「でも、そうね……? ぽよ?」

 と、黄色の、天井を仰ぎながら考えて、


「何か、ちょいムカつくし、ぽよ。そしたら、いいぽよ。せっかくの機会だから、爆発させてよ、ぽよ」


「なッ――!?」

 と、その答えに、再度ドン・ヨンファが驚愕し、

「――!」

 と、翁ですら、思わず目を見開いた。

「は、はぁぁ!? お、おいッ!! なッ、何を言ってるんだ!! ソユン!! 正気か!!」

「いや、正気かっていわれてもさ、ぽよ」

 混乱するドン・ヨンファと、面倒なことにイラッとする表情のパク・ソユンに、

「何、と……? それでいいのか、君は……?」 

 と、翁も、正気かと云わんばかりに聞き返す。

 首輪爆弾を、そのまま爆発させてもいいとの返答――

 まあ確かに、そのまま、死ぬかもしれないという話である。

 いや、死ぬよりの死ぬなのだろうが……

 そうしていると、

「ぽよ。いいから、早くー早くー、ぽよ」

「フン……」

 と、少し煽るように急かすパク・ソユンに、翁がやれやれと鼻で答え、


「――ならば、好きにするがいい」


 ――パ、チンッ――!!


 と、指を鳴らした。

「おッ、おいッ!! よせぇえええーッ!!!」

「ぽよ」

 ドン・ヨンファが叫ぶも、刹那、

 ――ピ、カッ

 と、眼前のパク・ソユンの黄色と黒の首輪爆弾から、淡くも黄色の閃光が生じていた。


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