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【黄色の壁】  作者: 石田ヨネ
第四章 調査、黄色の壁

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31/44

31 【まるでシンゴー、シンゴーのような語感】で




「……しかも、そんなもの飲んだら、死んじゃうんじゃない?」

「いえ……」

 と、至極当然のことを抗議するパク・ソユンに、主人の者は、

「……たぶん、貴女は死なないと思いまして――」

 と、間を置きながら、柔和な声で、冗談のような答えを言ってみせた。

「は? 何言っ――!? うぐっ――!?」

 パク・ソユンは、イラっとして抗議しようとするも、スッ――と寄せられたティーカップによって口をふさがれる。

 そのまま、


「どうぞ、パク・ソユン様――♪」


 と、主人の者は、流麗にして強引な様で、パク・ソユンにウェルカムティーというべきか――? “ウェルカムドリンクなるもの”を飲ませてみせた。



   ーーー


※※ 『激痛茶館』より




 昨夜の――、もんじゃやら、ごま油海苔塩のポテトチップスに、オレンジジュースやらの記憶がよぎりながらも、

「ああ……。その、“もしかして”、だ――」

 と、ドン・ヨンファが言葉にする前に、翁が口を開いて、

「お前たちは、ここに来るのに……、何か【仮説】を、考えていただろ?」

「――!?」

 と、ドン・ヨンファは、ハッ――!? と驚かされつつ、

「ぽよ」

 と、相づちしたパク・ソユンのほうを、

「……」

 と、苦虫を嚙み潰した顔になりながら、ちらり……と見た。

 その、思うところ――

 この人間は、いつまで【ぽよ】をつけるのをやめないのか? 

 というか、何故なにゆえ? こんなにも、緊張感がないのか――? 

 まあ、いつものことだが……


 ――それは、さておき、

「そう……、お前たちの【仮説】は、【合っている】よ……。お前たちを、ここに【いざなった】のは、他でもない……、庵の、【黄色の壁】そのもの――」

「――!?」

「ぽよ」

 ふたたび驚くドン・ヨンファと、たぶん驚いてないパク・ソユンの相づちを挟みながら、

「す、すると……、【壁】が、何か、【情報思念体のような存在】だという、僕たちの説は合っていたってことになるのか」

「ぽよ」

「ああ……」

 と、翁が答える。

 ただ、そうすると、

「そ、それじゃあ? あ、貴方は……?」

 ドン・ヨンファは、新たに疑問になって聞いた。

 すなわち、この【黄色の空間】に自分たちを連れてくるという、【謎の力】を発動した主は、【壁】などという、“人”でも、生物ですらない存在――

 だが、自分たちの目の前にいて対峙するのは、確かに、この【翁】という、人間もしくは怪人と思しき者の姿をしているのは間違いない。

 そう、考えていると、

「何か、アレぽよ? 【Vチューバー的な、インターフェース】的な、ぽよ?」

 とここは、パク・ソユンが、簡潔に聞いてくれた。

「フン……。まあ、“そういったもの”だと……、思ってくれても、いいだろう……」

 翁は、相づちしつつ答えた。


 また、続いてドン・ヨンファが、

「そ、それで、」

「う、ん……?」

 と、翁が、その能面のような片方の顔と、聖女のような柔らかい表情で反応するも、

「ぽよ」

 と、間で【ぽよ】を挟むパク・ソユンに、

「……」

 と、ドン・ヨンファが戦慄気味に、表情を凍らせた。

「(いや……、だから? 何で、そこで【ぽよ】を挟む?)」

 と、ドン・ヨンファは、半ばつっこみたくなるのをこらえながらも、

「そ、その……? 【目的】は、一体、何なんだい? 僕たちを、壁の向こうの――、この、【黄色の空間】に連れてきたのは?」

 と、翁に尋ねた。

「目的、か……?」

 確認するように聞く翁に、

「ぽよ」

 と、またしても、パク・ソユンが【ぽよ】を挟む。

「……」

 ドン・ヨンファが、再び沈黙する。

 仏頂面と、苦い顔を混ぜたような表情で、

「(いや、本当に……、いちいち、ウザいんだけど、こいつの相づち……)」

 と、憤りを口にしたいのだが、それでは話が進まなくなるという、“悶々とするナニカ”を耐えつつ、

「あ、ああ……。僕たちや、おそらく、庵に来た者たちを……、こうして、黄色の異空間に、連れ去っているんだよね? その、目的だよ」 

 と、ドン・ヨンファは疑問を、何とか言葉にしきった。

「……」

 沈黙しながら、まだ返答しない翁に、

「もしか、して……? その……? 例えば、この庵に足を踏み入れた、【侵入者に対する制裁】――とか、なのかい……? もし、そうだとすれば、ちゃんと謝りますよ」

 と、ドン・ヨンファは補足して聞くも、

「うん、謝るぽよー。めんごーめんごー、ぽよ」

「もうっ!! ちょっと!! ほんと、ソユンは黙ってくれって!! 頼むから!!」

 と、まるで【シンゴー、シンゴーのような語感】で言うパク・ソユンに、ついに耐え兼ねて爆発してしまう。

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