父と母の話し合い
「エヴァ」
「なんでございましょう?国王陛下」
「今まですまなかった」
「…それはなんのことについてですか」
エヴァの冷たい声に、アナトールは頭を下げた。
「ルシールやルーヴルナについてのことだ。本当にすまなかった!」
「…私の影武者を寵妃として迎え、子供まで産ませて。私の心はズタズタです」
「…ああ」
「すまなかったの一言で済むとお思いですか?」
エヴァの言葉に、アナトールは首を振る。
「エヴァ、君を深く傷つけたことは本当にすまないと思っている」
「…」
「恨んでくれ、呪ってくれ。私は君の愛を殺してしまった」
「…ええ、そうですね」
「それでも…ルーヴルナのことは、許してやってくれないか。あの子に罪はない。罪はないのに、私はあの子を離宮に押し込めてしまった。今からでも、君にもあの子にも罪を償いたい」
エヴァはアナトールを睨みつける。
次の瞬間には深くため息をついて、アナトールの両頬を思いっきり打ってそのまま部屋から追い出した。
「…ええ、そうでしょうとも。私たちの罪であって、あの子には罪はない」
エヴァはなにか、覚悟を決めた様子でぎゅっと手を握った。
その覚悟は果たしてルーヴルナにどんな影響を与えるものか。