新しい宰相
新しい宰相、ルーカス。
彼は潔癖と言えるほど不正を嫌う、正義感の強い男だ。
そしてこのアルヴィア王国の公爵でもある。
アルヴィア王国のさらなる発展と民の幸せを願うルーカスにとって、王族は皆大切な存在だ。
王国の尊き獅子、アナトール。
王国の尊き妃、エヴァ。
王国の若き獅子、アレクシ、アロイス、アマデュー。
みんなルーカスにとって大切で大事で、それはもちろんルーヴルナも同じこと。
王国の若き姫ルーヴルナ。
幼き魔術の天才、幼き学問の天才、幼くして完璧な美しさ、幼くして慈悲深き姫…色々言われるルーヴルナに、ルーカスは期待を寄せていた。
実際ルーヴルナが可愛がられるようになってから、アマデューも才覚を表した。
そしてエヴァの親戚…姪っ子に当たるローズ嬢もルーヴルナと関わりを持ってから才覚を表したという。
ルーヴルナとの直接の接触は、ルーヴルナのお誕生日パーティーで一言お祝いを申し上げたくらいだが…今日はルーヴルナと話をする機会をもらった。
ルーカスを宰相に推したアレクシが、ルーヴルナが気になっている頃だろうと二人でのお茶会の時間を儲けてくれたのだ。
「王国の若き姫、ルーヴルナ様。お会いできて光栄です。私はルーカス・ギャエルと申します。公爵の位を賜っており、宰相としても任命していただいております」
「新しい宰相さんだね!ルーカスおじさんって呼んでもいい?」
「もちろんです」
「ルーカスおじさん、よろしくね!知ってると思うけど、私はルーヴルナ・ヴィクトリア・アルヴィア。ルナって呼んでいいよ!」
「では、ルナ姫殿下とお呼びさせていただきます」
ルナの純真な瞳に、ルーカスは好感を抱いた。
「ルナ姫殿下は、すでに魔術を全て習得されているとか」
「うん、ディオン先生のおかげだよ!今はさらに使いこなせるように特訓もしているの!」
「弛まぬ努力、素晴らしいことかと存じます」
「えへへ」
ルーヴルナは褒められて照れる。
その様子もまた可愛らしいとルーカスはルーヴルナに魅せられる。
「教養の方もあのパラケルスス殿からもう教えることがないと言われるほどとか」
「ほとんどね!でも今は外国語を習ってるよ!外国語はなかなか難しいの」
「そうでしたか」
「でもお勉強楽しいよ!」
その後はルーヴルナの取り止めもない話を聞く側に回ったルーカス。
しかし気分良さそうに話すルーヴルナの様子を見るのはとても楽しい。
人を惹きつける魅力のあるルナ姫殿下。
そんなルナ姫殿下こそ、この国を盛り立てていくための大切な存在だとルーカスは確信した。
もちろん、一番大事なのは王国の尊き獅子アナトールと王国の若き獅子アレクシだが。




